パニック障害

こころのトリセツ

パニック障害について知る

今回は、「パニック障害」について分かりやすく解説していきたいと思います。突然訪れる強い不安や動悸、体の異変に悩まされ、日常生活に影響してしまう方は少なくありません。この記事では、病気の特徴から症状、原因、治療法、さらに周囲の方ができるサポートまで丁寧にまとめました。

1)パニック障害とはどのような病気か

パニック障害とは、「突然強い緊張や恐怖の発作が起こり、それを繰り返してしまう病気」です。典型的な例を見てみましょう。

Aさんは、これまで特に精神的な不調を感じたことはありませんでした。しかし、仕事の残業が続いて疲れがたまっていたある朝、満員電車に乗った際に、急に「強い恐怖心」がこみ上げ、動悸と冷や汗が止まらなくなりました。駅に到着して電車を降りると症状は落ち着きましたが、その後も電車に乗るたびに同じような発作が起こるようになりました。

次第に「また発作が起きるかもしれない」という強い不安が生まれ、電車そのものを避けるようになっていったのです。

このように、パニック障害は突然の発作を繰り返すだけでなく、「思い出すだけで不安になる」「同じ状況を避けるようになる」という特徴があります。

2)パニック障害の主な症状

パニック障害には大きく3つの症状があります。

① パニック発作(急な強い緊張の発作)

パニック障害で最も代表的なのが「パニック発作」です。何の前触れもなく突然強烈な不安や恐怖に襲われ、同時に体にもさまざまな症状が出ます。

心の症状:

・強烈な不安

・今にも命に関わるのではないかというほどの恐怖

・落ち着かない感覚

体の症状:

・動悸、息苦しさ

・めまい

・手足のしびれ

・吐き気

・発汗、震え など

これらは自律神経が急に緊張することで起きる症状です。

発作が起きやすい場面としては、「逃げにくい場所」が典型的です。具体的には満員電車、映画館、エレベーター、さらには夜間などが挙げられます。

② 予期不安(また起こるのではないかという恐怖)

発作を一度経験すると、「また起きるのではないか」という不安が生まれます。考えるだけで緊張してしまい、気持ちが休まらない状態が続くことがあります。

③ 回避(不安が出る場面を避ける)

強烈な経験を繰り返したくないという気持ちは自然なものです。そのため、電車や教室、人混みなど「発作が起きそうな場面」を避けるようになります。しかし、回避が続くと行動範囲がどんどん狭まり、生活に大きな支障をきたすことにつながります。

3)パニック障害の原因

パニック障害の原因は、現在の医学ではまだ完全には分かっていません。しかし、セロトニンなど脳内物質の働きが関わっている可能性が指摘されており、うつ病との共通点もあるとされています。

ここで強くお伝えしたいのは、「甘えが原因ではない」ということです。自分の意思の弱さや性格だけで起こるものではなく、脳の働きのバランスが崩れてしまった結果として発症すると考えられています。

4)パニック障害の辛さとは

パニック障害は、単に「発作が怖い」というだけではありません。さまざまな辛さが積み重なり、生活全体が大きく制限されてしまうことが多いのです。

① 発作そのものの辛さ

経験した人にしか分からない

突然の強烈な恐怖は、経験した人にしか分からないほどのつらさがあります。「心が痛めつけられるようだ」と表現する方もいます。

② 不安が続く辛さ

発作の経験が頭から離れず、常に緊張した状態になってしまうことがあります。気が休まらないため、集中力が低下したり、睡眠に影響が出る方もいます。

③ 生活の制限

「電車に乗れない」「教室に入れない」「人混みを避けて生活しなければならない」など、できないことが増えていきます。これにより仕事・学校・家族との外出などあらゆる面で不便が生じ、本人の自信の低下にもつながりかねません。

5)パニック障害の治療

―焦らず、少しずつ克服していくことが大切―

治療は主に「薬物療法」と「認知行動療法(脱感作)」の2つが中心です。

① 薬物療法

薬は大きく2種類使われます。

・抗うつ薬

脳内のバランスを整え、発作を起こしにくくするために継続的に使用します。治療の土台となる薬です。

・抗不安薬

発作や強い不安が出ている「調子の悪い時」に使用する即効性の薬です。毎日飲むのではなく、必要時に限定して使います。

② 脱感作(慣らしの治療)

不安を感じる場面に少しずつ慣れていく方法です。電車が怖い場合であれば、「空いている時間帯に一駅だけ乗る」など、ごく軽いステップから始めます。無理をすると逆に症状が強くなるため、焦らず段階的に行うことが大切です。

6)周囲の方にお願いしたいこと

―焦らず、ゆっくり見守ることが支えになる―

パニック障害の方を支える上で、周囲の理解は大きな力になります。

① 緊張をさせない関わり

発作は強い緊張で起こりやすくなります。プレッシャーをかけるような言葉や態度は避け、ゆったりとした雰囲気で接することが大切です。

② ゆっくり見守ること

脱感作の治療は効果が出るまで時間がかかります。焦って無理をすると逆効果になりかねません。結果を急がず、長い目で見守りながら支えていただければ、本人にとって大きな安心になります。

ゆっくり見守ることが支えになる

まとめ

・パニック障害は、満員電車などで突然「パニック発作」を繰り返す病気。

・発作の恐怖に加え、不安や生活の制限が重なり、日常生活が難しくなることがある。

・薬物療法と脱感作を中心に治療が行われるが、時間がかかるため焦らず取り組むことが大切

・周囲の人の「ゆっくり見守る姿勢」が大きな支えになる。