発達障害を持つ方にとって、会社勤めを長く続けることは時として非常に難しい課題です。今回は、発達障害の方が会社での仕事を継続することが難しい理由と、日常の業務で実践できる改善方法について丁寧に解説していきます。発達障害に関する基礎知識から、職場での困りごと、そして具体的な仕事を続けるコツまで幅広くご紹介します。
発達障害とは?
まず初めに、発達障害とはどのような障害かを簡単に説明します。発達障害とは、生まれつき脳の機能の一部に偏りがあることで、生きづらさを感じやすい障害の総称です。代表的な発達障害には以下の種類があります。
- ADHD(注意欠如・多動性障害)
不注意、衝動性、多動性が特徴です。仕事中に集中が続かない、思いつきで行動してしまう、注意を払えずミスが多いといった困難が生じやすくなります。 - ASD(自閉スペクトラム症)
対人関係やコミュニケーションに課題があり、強いこだわりやパターン化された行動が特徴です。臨機応変な対応が苦手で、職場でのトラブルに繋がることがあります。 - LD(学習障害)
読む・書く・聞く・話す・計算するなどの特定スキルの習得が困難で、職務に必要な知識や手順の習得に時間がかかることがあります。
それぞれの特徴や対処法は個人差が大きく、同じ発達障害でも困難の現れ方は異なります。
会社勤めが続かない理由
発達障害の方が仕事を続けるのが難しい主な理由は、以下の二つに集約されます。
1. 働き方が特性に合っていない
発達障害の方は、自分の特性に合わない働き方を強いられると、強いストレスを感じやすくなります。具体的には以下のような困りごとが生じます。
- ストレスを溜めやすい
周囲との感覚のズレや考え方の違いを敏感に感じることで、知らず知らずのうちにストレスが蓄積されます。疲労やストレスに気づきにくい方も多く、気づいたときには限界に達していることもあります。 - 適職を見つけにくい
スケジュール管理が苦手、時間を守るのが難しいなど、職種や職場環境によっては特性が困難として顕在化しやすく、自分に合った会社を見つけるのが難しくなります。
2. 職場で抱えやすい問題
働き方が合わない場合、職場では具体的に以下のような困りごとが起こります。

- 業務を覚えるのに時間がかかる
発達障害の方はワーキングメモリが少ない場合があり、短期的に複数の情報を同時に処理するのが苦手です。そのため、仕事を覚えるのに時間がかかり、効率が悪くなることがあります。 - ミスが多い
ADHDでは不注意による作業ミスが、ASDでは臨機応変な対応の苦手さが原因で、業務上のミスが発生しやすくなります。 - 指示理解が難しい
上司からの口頭指示を正確に理解できない場合があります。抽象的な表現が理解しづらいASDや、集中して話を聞けないADHDの特性が影響します。 - 仕事の期日を過ぎてしまう
ADHDはスケジュール管理やタスク管理が苦手で、期日を守るのが難しいことがあります。ASDでは完璧主義やこだわりにより、時間通りに仕上げられない場合があります。
良好な人間関係が築きにくい
仕事が続かないもう一つの要因として、人間関係の構築の難しさがあります。
- 時間や場所を間違える、忘れる
スケジュール管理の苦手さから、会議や約束に遅れる、あるいは場所を間違えることがあり、信頼関係に影響します。 - 顔や名前が覚えられない
ASDの傾向が強い方では、他人に興味を持ちづらく、覚えることが難しい場合があります。結果的に相手に失礼な印象を与えてしまうことがあります。 - 無表情な対応や一方的な会話
ASDの方では表情が乏しく、合いづちを打つことが難しいことがあります。また、ADHDやASDの方では自分の興味のある話題ばかり話してしまい、相手の話を聞かないことがあります。これも人間関係の摩擦につながります。
仕事を続けるための具体的なコツ
発達障害の方が職場での困難を減らし、仕事を続けるためには以下の方法が有効です。
1. フローチャートを作成する
業務手順を視覚化したフローチャートを作ることで、作業の順序が明確になり、抜け漏れを防ぎやすくなります。イラストや写真を使うとさらに理解がしやすくなります。
2. チェックリストを活用する
業務の各ステップで確認すべき項目をリスト化し、ミスチェックに活用します。これにより、作業の漏れやミスを防ぐことができます。

3. 具体的な指示を仰ぐ、手本を見せてもらう
抽象的な指示や複雑な手順が理解しにくい場合は、分からないことを遠慮せずに質問したり、実際の作業を見せてもらうことで理解を深めます。動画で手順を撮影し、復習する方法も有効です。
4. アラームやリマインダーを活用する
タスク管理やスケジュール管理が苦手な場合は、アプリやアラームを活用してやり忘れを防ぎます。時間単位でスケジュールを組むと、業務を計画的に進めやすくなります。
5. 業務を小さく分けて段取りを明確にする
大きな作業は小さなステップに分け、それぞれに期限を設けると、集中しやすく、期日を守りやすくなります。
6. 定期的に休憩を取り、自己管理を徹底する
ストレスや疲労を自覚しにくい場合でも、定期的に休憩やリフレッシュ時間を確保することで、体調やメンタルを保ちやすくなります。
まとめ
発達障害の方が会社勤めを続けることが難しい理由は、働き方の不一致や職場での困りごと、人間関係の構築の難しさなど多岐にわたります。しかし、フローチャートやチェックリストの活用、具体的な指示を仰ぐ、アラームでタスク管理を補助するなど、工夫次第で多くの困難は軽減できます。
大切なのは、「自分の特性を理解し、環境や働き方を少しずつ整えていくこと」です。無理に自分を変えようとするのではなく、周囲と協力しながら、少しずつ職場での働きやすさを手に入れていきましょう。