【あなたは大丈夫?】「スマホ中毒」で、がんのリスクが・・・

スマホ中毒とがん――現代の便利さがもたらす健康への影響

現代社会ではスマートフォンが私たちの生活の中心にあります。連絡、仕事、勉強、娯楽――あらゆる場面で欠かせない存在となりました。しかしその一方で、スマホの長時間使用、いわゆる「スマホ中毒(smartphone addiction)」が心身の健康に悪影響を及ぼすことが問題になっています。最近では、こうしたスマホ依存と「がん」との関係に注目が集まっています。

高齢化とともに増えるがん、若年層にも拡大する傾向

がんはかつて「高齢者の病気」とされてきましたが、近年は若年層でも増加傾向にあります。特に大腸がんの増加は世界的な問題で、食生活の欧米化や運動不足が主な原因とされています。その中で、スマホやタブレット、パソコン、テレビといった「スクリーンタイム」の増加も、新たなリスク要因として研究が進められています。

スマホ中毒とは何か

スマホを持っていないと落ち着かず、一日中触っていないと不安になる――こうした状態はスマホ依存症とも呼ばれます。英語では“smartphone addiction”といい、精神医学的にも依存症の一種とされています。近年ではうつ病、不安障害、睡眠障害など、さまざまな精神疾患との関連が指摘されており、ベストセラーとなった『スマホ脳』でもその弊害が詳しく述べられています。

スマホ中毒がもたらすのは単なる「時間の浪費」ではありません。長時間の使用により生活習慣が乱れ、結果として身体の健康にも悪影響が及ぶのです。

スマホ中毒と生活習慣の乱れ――中国の大学生を対象にした研究

中国で行われた1000人以上の大学生を対象とする調査では、全体の約23%がスマホ中毒と判定されました。スマホへの依存度が高いほど、摂食障害(過食症・拒食症など)が多く、うつ病や不安、不眠といった問題を抱える傾向が強かったと報告されています。

さらに、ファーストフードや炭酸飲料を頻繁に摂取する一方で、身体を動かす機会が少ないという結果も出ています。つまり、スマホ中毒の人ほど「乱れた食生活・睡眠不足・運動不足」という、がんのリスクを高める生活習慣に陥りやすいのです。

スマホ中毒と乳がんリスク――台湾の研究から

スマホ中毒と乳がんリスク――台湾の研究から

2020年、台湾で行われた研究(『Cancer Management & Research』誌掲載)では、乳がん患者211人とがんのない女性894人を比較しました。その結果、スマホ中毒と判定された女性は、そうでない女性に比べて乳がんのリスクが43%高いことが分かりました。特に、就寝前にスマホを使用する女性では、乳がんのリスクが5倍以上に上昇していたのです。

この結果から、寝る直前のスマホ使用は、睡眠障害やホルモン分泌への悪影響を通じて、がんの発症リスクを高める可能性があると考えられます。ブルーライトがメラトニンの分泌を抑えることも知られており、このホルモンの減少が細胞の修復機能を妨げる可能性が指摘されています。

携帯電話とがんの関連を探る――過去のメタ解析

さらに、2009年に『Journal of Clinical Oncology』に発表されたメタ解析では、携帯電話の長期使用とがんの関係を調べた20件以上の研究を統合分析しました。その結果、10年以上携帯電話を使用している人では、がんのリスクが約18%高いという結果が得られています。

ただし、これは今から15年以上前のデータであり、当時の携帯電話の電磁波量や利用形態は現在のスマートフォンとは異なります。したがって、現代の機器や使用環境にそのまま当てはめることはできませんが、少なくとも「長時間の電磁波曝露」や「慢性的な使用習慣」が健康に悪影響を及ぼす可能性は否定できません。

スマホが直接がんを引き起こすのか?

現時点で「スマホの電磁波が直接がんを発生させる」という明確な証拠はありません。しかし、スマホ中毒による生活習慣の乱れ――偏った食事、夜更かし、運動不足、ストレスの蓄積――が、がんの間接的なリスク要因になることは十分に考えられます。

人間の体は、十分な睡眠や適度な運動、バランスの取れた食事によって、細胞の修復や免疫の維持を行っています。スマホ中毒によってこれらが損なわれると、がん細胞を抑える自然治癒力が低下するおそれがあります。

健康的にスマホと付き合うために

健康的にスマホと付き合うために

スマホを完全に手放すことは、現代社会では現実的ではありません。大切なのは「上手に付き合うこと」です。以下のような工夫が有効です。

  • 寝る1時間前はスマホを見ない(ブルーライト対策)
  • 通知をオフにして集中時間を確保する
  • スクリーンタイムをアプリで管理する
  • 歩きながらスマホを見ない・姿勢を正す
  • 休日は“デジタルデトックスデー”を設ける

これらを意識するだけでも、脳と身体のストレスが軽減され、睡眠やホルモンバランスの改善につながります。

おわりに

スマホは便利で、私たちの生活を大きく変えました。しかし、その便利さの裏側には「依存」というリスクが潜んでいます。スマホ中毒は心の病だけでなく、生活習慣を通じて身体の病、さらにはがんのリスクを高める可能性がある――それが今、研究によって少しずつ明らかになってきています。

一日の中で、スマホから少し離れる時間を持つこと。それは「デジタル断食」というより、自分自身の体と心を整えるための小さな休息です。
便利さに頼りすぎず、自分の健康を守るバランスを見つけること――それこそが、長く健やかに生きるための第一歩なのです。