日々の生活の中で、「なんだか疲れやすい」「夜眠れない」と感じることはありませんか?特にASD(自閉スペクトラム症)の方にとって、疲労や睡眠の問題は日常生活に大きな影響を与えます。今回は、ASDの方が疲れやすい原因と、それに対応する快適な睡眠方法について詳しく解説します。
ASDの人が疲れやすい三つの原因
ASDの方が疲れを感じやすい背景には、主に三つの原因があります。それぞれの特性に応じた理解が、疲労対策の第一歩となります。
1. 感覚過敏や感覚鈍麻による疲労
ASDの方には感覚過敏や感覚鈍麻が見られることがあります。感覚過敏の方は、光や音、触覚、匂いなどに対して強く反応しやすく、日常生活のちょっとした刺激でも大きなストレスを感じることがあります。たとえば、明るい照明やカチカチとしたキーボードの音が疲労の原因になることもあります。
一方で感覚鈍麻の方は、疲れを感じにくいため、無理を重ねてしまう傾向があります。「疲れた」と自覚する前に体や心が限界に達してしまうことがあるのです。
2. 人間関係やコミュニケーションによる疲労
ASDの方は、対人関係やコミュニケーションの構築が苦手であることがあります。日常生活や職場での会話、メールやチャットでのやり取りでも、大きなエネルギーを使ってしまうことがあります。その結果、相手に合わせようと努力するだけで、通常よりも多くの疲労を感じやすくなります。
3. 思考や過集中による疲労
ASDの方は白黒思考や完璧主義の傾向があり、一つの作業に過集中してしまうことがあります。細かい作業や注意が必要な仕事に没頭するあまり、休憩を取ることを忘れてしまい、結果として心身の疲労が蓄積します。
ASDの人が抱える睡眠の問題

疲れやすさと密接に関わるのが睡眠です。ASDの方の中には、十分な睡眠が取れずに悩む方も少なくありません。
ある調査によると、ASDの方の3〜4割が、不眠を理由に病院を受診した経験があると回答しています。さらに、ASDとADHDが合併している方では、約40%が同様の経験を持っています。このことから、発達障害の特性が睡眠トラブルを引き起こすことが明らかです。
ASDの方は脳の機能の特性により、睡眠サイクルや生活リズムが崩れやすい傾向があります。例えば、夜になると興奮して眠れない、朝起きるのがつらいといった問題です。睡眠不足が続くと、認知機能の低下や日中の集中力低下、気分の不安定さなどが生じ、発達障害の特性をさらに悪化させることもあります。
快適な睡眠を実現する方法
それでは、ASDの方がより良い睡眠を得るためには、どのような工夫が必要なのでしょうか。ポイントは「自分に合った環境作り」と「生活習慣の工夫」にあります。
1. 自分に合った環境作り
まず、寝室や生活空間の環境を整えることが重要です。感覚過敏がある場合は、照明や音、寝具の感触など、自分にとって心地よい環境を意識して整えましょう。逆に感覚鈍麻の方は、体の疲れに気づきにくいため、無理をせずに意識的に休息時間を作ることが必要です。
2. 生活のルーティン化とアラームの活用
ASDの方は、疲れに気づきにくい特性があるため、「疲れたから休む」ではなく、「時間が来たから休む」というルールを設けることがおすすめです。アラームを活用して睡眠や休憩の時間を強制的に把握することで、過集中による疲労蓄積を防ぐことができます。
また、毎日の生活リズムを一定に保つことも効果的です。起床・就寝時間を固定し、朝日を浴びる、軽い運動を取り入れるなど、体内時計を整える工夫が有効です。
3. 入浴やストレッチで身体をほぐす

寝る前に入浴やストレッチを行うことで、体温が上昇し、その後の自然な体温低下が睡眠を促進します。体の緊張をほぐすことで、心身ともにリラックスした状態で眠りにつくことができます。
4. 不安やストレスの軽減
ASDの方は日常生活の中で不安やストレスを抱えやすい傾向があります。睡眠の質を上げるためには、心の整理も重要です。信頼できる相談相手を作る、問題を先延ばしにせず解決するなど、心の負担を減らす工夫が、安眠への大きな助けとなります。
まとめ
ASDの方が疲れやすいのは、感覚の特性や人間関係、過集中など、さまざまな要因が絡み合っているからです。その疲れは睡眠の質にも影響し、日常生活や発達障害の特性に悪影響を及ぼすことがあります。しかし、生活環境の工夫やルーティン化、入浴・ストレッチ、心のケアといった対策を取り入れることで、快適な睡眠を実現することは十分可能です。
疲れや眠れない悩みは、我慢せずに工夫して対策することが大切です。自分に合った方法を少しずつ取り入れ、日々の生活の質を向上させましょう。