近年、「人との関わりが苦手」「職場の人間関係で疲れてしまう」と感じる方が増えています。特に発達障害(ADHD・ASD・LDなど)の特性をもつ方にとって、集団でのコミュニケーションやマルチタスクは大きな負担になることがあります。
しかし一方で、自分のペースで一人でできる仕事に就くことで、能力を発揮し、安心して働けるケースも少なくありません。今回は、発達障害の方に向いている「一人でできる仕事・適職」を8つご紹介します。
発達障害とは?
発達障害とは、生まれつき脳の機能の一部に偏りがあることによって、日常生活や仕事において生きづらさを感じやすい障害の総称です。大きく分けて次の3つのタイプがあります。
- ADHD(注意欠如・多動症):不注意・多動性・衝動性といった特徴がみられる。
- ASD(自閉スペクトラム症):対人関係やコミュニケーションの困難、強いこだわりなどがみられる。
- LD(学習障害):読む・書く・計算するといった特定の学習分野に困難がある。
これらの特性は人それぞれ異なり、「集中力が高い」「正確さに優れている」「こだわりを持って物事に取り組める」といった強みにつながることもあります。
大切なのは、「自分の特性に合った働き方」を見つけることです。
一人でできる仕事の特徴

発達障害の方が安心して働きやすい仕事には、いくつかの共通点があります。
- コミュニケーションが少ない
- 人間関係がシンプル
- 作業内容が明確で、マニュアルがある
- 自分のペースで集中して取り組める
これらの条件を満たす仕事であれば、ストレスを減らし、得意分野を活かして働くことができます。
それでは、具体的にどのような仕事があるのか見ていきましょう。
一人でできる仕事・適職8選
① 製造業・倉庫作業

工場や倉庫での作業は、人との会話が少なく、集中して一人で取り組める仕事が多いです。
代表的な仕事内容としては、
- ピッキング(商品の取り出し)
- 検品(不良品の確認)
- 梱包
- シール貼り
- 組み立て・加工
などがあります。
食品製造や機械部品の製造など、業種も幅広く、黙々と作業に打ち込める環境です。一定の手順を覚えてしまえば、安定して長く働ける職場も多いでしょう。
② 配達・運送の仕事

配達や運送の仕事は、ほとんどの時間を一人で過ごせるのが特徴です。
例として、
- 新聞配達
- ポスティング
- トラック運転手
- 郵便配達
- 宅配便
- フードデリバリー
などが挙げられます。
ルートやスケジュールが決まっているため、決まった流れの中で働ける点も魅力です。外の空気を吸いながら、自分のペースで取り組みたい方に向いています。
③ 警備の仕事
警備業も、一人で勤務する時間が長い職種です。
- 道路工事やイベント会場での雑踏警備
- ビルや病院、百貨店などの施設警備
などがあります。
決められたルールのもとで、淡々と安全を見守る業務が中心です。静かな環境で規則的に働けることから、ASD傾向の方にも向いている場合があります。
④ 検針員の仕事

電気・ガス・水道などのメーターを確認する「検針員」も、基本的に一人での作業です。
各家庭を巡回して数値をチェックし、データを入力するシンプルな仕事で、コミュニケーションがほとんどありません。時間管理が得意で、正確に業務をこなせる人に適しています。
⑤ 清掃の仕事
ビルやオフィス、介護施設などの清掃業務も、静かに一人で働ける職種です。
モップ掛けやゴミ回収、トイレ清掃など、作業内容が決まっているため、慣れればルーティン化できます。清潔好きな人や、黙々と体を動かすことが得意な人に向いています。
⑥ 事務職(裏方業務中心)
一般的に「事務職」と聞くと人とのやり取りが多いイメージがありますが、裏方のサポート業務には一人で黙々と取り組める仕事もあります。
たとえば、
- データ入力
- 書類整理
- 郵便物の発送・仕分け
などです。
パソコン操作が得意で、正確性を重視できる人におすすめです。就労継続支援事業所などでも、事務補助の訓練を受けられる場合があります。
⑦ ITスキルを活かした仕事

IT分野は「個人作業が多い」「在宅勤務が可能」という特徴があり、発達障害の方に適している場合があります。
代表的な職種には、
- プログラマー
- システムエンジニア
- ウェブデザイナー
などがあります。
ロジカルに考えることや、一つの課題に集中することが得意な方に向いています。スキルを磨けばフリーランスとして働くことも可能です。
⑧ 語学力・文才を活かした仕事
言葉や文章に関心がある方には、語学や執筆に関する仕事もおすすめです。
- 翻訳家
- コピーライター
- 校正者・校閲者
在宅で完結する仕事も多く、静かな環境で集中できるのが魅力です。地道な作業が得意な人、細部にこだわりを持てる人にはぴったりの仕事です。
フリーランスや自営業という選択肢
「人間関係が苦手だからフリーランスになりたい」と考える方も少なくありません。確かに、上司や同僚との関わりが少ない点では魅力的に見えるでしょう。
しかし実際には、フリーランスや自営業は決して「楽な働き方」ではありません。

営業活動や経理、スケジュール管理、クライアント対応など、すべてを自分でこなす必要があります。これはまさに「マルチタスクの最上級」です。
そのため、「人と関わらなくて済むから楽そう」といった理由だけで始めると、かえってストレスが増してしまうこともあります。
一方で、「自分の得意分野を生かして挑戦したい」「努力を続けて夢を実現したい」といった強い意志と覚悟を持つ人には、やりがいのある働き方でもあります。
フリーランスを目指す場合は、まずは副業やクラウドソーシングなどから少しずつ始めてみるのがおすすめです。
まとめ

発達障害の方にとって、「一人でできる仕事」はストレスを減らし、自分の力を最大限に発揮できる環境となり得ます。
大切なのは、「できない仕事を避ける」ことではなく、「得意を活かせる仕事を選ぶ」ことです。
人との関わりが少なく、自分のペースで取り組める仕事は数多く存在します。
焦らず、自分の特性や強みを理解しながら、少しずつ働きやすい環境を見つけていきましょう。