【発達障害】ASDは片付けができない!?【アスペルガー症候群】

ASDは片付けができない?

ASD(自閉スペクトラム症)は、発達障害のひとつであり、社会性やコミュニケーション、想像力や行動の柔軟性に特徴が見られる状態を指します。以前はアスペルガー症候群や広汎性発達障害と呼ばれていたものも現在はASDに含まれます。

ASDの特性は人によって大きく異なりますが、共通して見られる傾向として「物事をパターン化して理解する」「興味のある分野に強いこだわりを持つ」「変化に対して不安を感じやすい」といった特徴があります。こうした特性は一見すると日常生活に困難をもたらすこともありますが、裏を返せば強みとして発揮される場面もあります。たとえば、規則性を重視する姿勢は業務の正確性に役立ち、こだわりの強さは専門的なスキル習得につながることもあります。

ただし生活全般の中で課題となるのが「片付け」です。ASDの人は片付けや整理整頓が苦手であることが多く、これが家事や仕事の効率に影響を及ぼす場合があります。ここでは、ASDが片付けを苦手とする理由を掘り下げ、その対策について考えていきます。


ASDが片付けを苦手とする理由

1. 物の不必要が判断できず溜め込む

1. 物の不必要が判断できず溜め込む

ASDの人は「これは本当に必要かどうか」を判断することが難しい傾向があります。たとえ使っていない物でも「将来使うかもしれない」と感じたり、「捨ててしまうと安心できなくなる」と考えてしまったりすることがあります。その結果、物を処分できずにどんどん蓄積してしまうのです。

また、物の価値に対するこだわりが強く、他人から見ると「不要」と思える物でも本人にとっては大切な記憶や意味を持つ場合があります。例えば、イベントのチケット半券や壊れた文房具を捨てられずに取っておく、といった行動が典型例です。

2. 優先順位を決めることが苦手

2. 優先順位を決めることが苦手

片付けは「どの物を残すか」「どこに収納するか」「どの順番で整理するか」といった判断を伴います。ASDの人は優先順位をつけるのが苦手で、複数の選択肢があると混乱しやすい傾向があります。そのため片付けを始めても途中で手が止まってしまい、結局片付けが進まないことがよくあります。

例えば、部屋を整理しようとして「本を棚に戻す」「机の上を片付ける」「不要な服を分ける」といった複数の作業が同時に目に入ると、どこから手をつければよいかわからずストレスを感じてしまいます。

3. 1つのことに集中しすぎる

ASDの特性のひとつに「過集中」があります。ある作業に没頭すると周囲のことが見えなくなり、時間の感覚も忘れてしまうほど集中してしまう状態です。片付けに取り組んでも特定の小さな作業に過剰に集中してしまい、全体が進まないことがあります。

例えば、引き出しの中のペンを色ごとに並べ替えることに夢中になり、肝心の部屋全体の整理が進まないといったことです。本人としては「片付けをしている」と思っていても、全体を見ればまだ散らかったままという状況に陥りがちです。


対策

片付けの苦手さはASDの特性に根差したものですが、工夫することで改善することが可能です。以下に代表的な対策を挙げます。

1. 廃棄するものの基準を決める

曖昧な判断では片付けが進みません。「1年以上使っていない物は処分する」「壊れて修理できない物は捨てる」といった明確なルールを設けることで決断がしやすくなります。自分でルールを作るのが難しい場合は、家族や支援者と一緒に基準を決めるのも効果的です。

2. 整理整頓をルーチン化

片付けを一度に完璧にやろうとすると負担が大きくなります。そこで「毎日寝る前に机の上だけ片付ける」「週末に30分だけ掃除する」といった形でルーチン化すると続けやすくなります。ASDの人は決まった習慣を守ることに安心感を覚えるため、ルーチンとして取り込むことで自然に片付けが習慣化されます。

3. 家族・知人に協力を依頼

3. 家族・知人に協力を依頼

自分一人で片付けるのが難しい場合、信頼できる家族や知人に協力をお願いするのも有効です。他者の視点が入ることで「これは本当に必要かどうか」の判断がしやすくなります。また、誰かと一緒に片付けることで途中で投げ出さずに取り組める可能性も高まります。

4. 定期的に清掃業者へ依頼

どうしても片付けが進まない場合や物が大量に溜まってしまった場合には、専門の清掃業者に依頼するのも一つの手段です。プロの力を借りることで一気に整理が進み、環境をリセットすることができます。その後は上記のルーチン化や基準設定を取り入れて維持していくことが重要です。


まとめ

まとめ

ASDの人が片付けを苦手とする背景には、不要品の判断が難しいこと、優先順位付けの苦手さ、過集中による偏りが関係しています。しかしこれは本人の努力不足ではなく、発達特性に由来するものです。大切なのは無理に「普通の片付け方」を押し付けるのではなく、その人に合った工夫を取り入れることです。

明確な基準を設ける、片付けを習慣化する、周囲に協力を求める、専門業者の力を借りるといった方法を組み合わせれば、片付けが大きな負担にならずに済みます。環境を整えることは生活の質を向上させる大切な一歩であり、ASDの人にとって安心できる暮らしにつながります。