ADHDの8割が悩む『不眠』原因と対策をお教えします【大人の発達障害】

ADHD(注意欠如・多動症)は、発達障害のひとつであり、不注意、多動性、衝動性といった特徴を持ちます。集中力の持続が難しい、忘れ物が多い、じっとしていられないといった症状が見られることも多く、子どもから大人まで幅広く影響を及ぼす可能性があります。特に成人期のADHDでは、仕事や人間関係だけでなく、生活習慣の乱れや睡眠のトラブルに悩まされる人が少なくありません。

ADHDの人の中には、睡眠リズムが整わず、深夜まで起きてしまう、寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚めるといった「不眠症状」を抱えるケースが多く報告されています。これは単に生活習慣の問題ではなく、ADHDの脳の働き方やホルモンの分泌リズムとも関係しています。ここからは、不眠が起きる原因を掘り下げ、その上で効果的な対策を紹介します。


ADHDの不眠の原因

ADHDの不眠の原因

1. 物音が気になる

ADHDの人は感覚過敏を持つことがあり、わずかな物音でも神経が高ぶって眠れなくなる場合があります。時計の秒針、外の車の走行音、隣の部屋の生活音など、通常なら気にならないレベルの音でも眠りを妨げる要因となります。こうした「過敏さ」は、脳が刺激に対して過剰に反応してしまう特性に由来していると考えられます。

2. 日中のストレス

ADHDの人は仕事や学業で「忘れ物をした」「集中できなかった」「うまく段取りを組めなかった」といった失敗体験を積み重ねやすく、そのストレスを抱えたまま就寝時間を迎えることが少なくありません。寝る直前まで反省や後悔の気持ちが頭から離れず、脳が休まらないために眠りにつけないのです。

3. ゲームやスマホ等に熱中してしまう

ADHDには「過集中」という特性があり、特定の興味対象に没頭して時間を忘れる傾向があります。特にスマホやゲームは強い刺激を与えるため、一度始めると夜遅くまで止められず、結果的に入眠時間が大幅に遅れてしまうことがあります。また、画面から発せられるブルーライトがメラトニンの分泌を妨げることも影響しています。

4. メラトニンの分泌が遅い

睡眠を促すホルモンであるメラトニンは、通常は夜になると自然に分泌が増え、眠気を引き起こします。しかしADHDの人は、この分泌タイミングが遅れる傾向があるとされており、布団に入っても眠気が訪れるまで時間がかかることがあります。この「体内時計のずれ」こそが、ADHDの不眠の大きな要因のひとつです。


入眠のための対策

入眠のための対策

1. 寝室の環境を整える

睡眠の質を左右するのは環境です。ベッドはできるだけ日当たりの良い場所に置き、朝に自然光を浴びやすくすることで体内時計を整えやすくなります。また夜間は光を遮るために遮光カーテンを使用し、外の物音を減らすために耳栓やホワイトノイズを取り入れるのも効果的です。視覚・聴覚への刺激を減らすことで、安心して眠れる空間を作りましょう。

2. いったん寝るのをやめて気分転換する

布団に入っても眠れない状態が続くと、脳は「ベッド=眠れない場所」と認識してしまいます。そのため、30分以上眠れないときはいったん布団を出て、リラックスできる軽い読書やストレッチなどを行いましょう。再び眠気が訪れてからベッドに戻ることで、入眠がスムーズになります。

3. 入眠時間にアラームを鳴らす

起床時間を一定に保つことはよく知られていますが、「寝る時間を知らせるアラーム」を設定するのも効果的です。夜にスマホやゲームに熱中してしまうADHDの人にとって、時間を意識するきっかけとなります。就寝リズムを固定化することで、体内時計が安定し、自然に眠気が訪れるようになります。

4. 睡眠薬や睡眠導入剤を使う

どうしても不眠が改善しない場合、医師の判断のもとで睡眠薬や睡眠導入剤を使用する選択肢もあります。ADHDの人にはメラトニン製剤(メラトベルなど)が処方されることもあり、体内時計のずれを補正する効果が期待できます。ただし薬に頼りすぎるのはリスクもあるため、専門医と相談しながら正しく使用することが重要です。


まとめ

ADHDの人が不眠に悩まされるのは珍しいことではありません。その背景には、物音への過敏さ、日中のストレス、スマホやゲームへの過集中、メラトニン分泌の遅れといった特性が関わっています。しかし、寝室環境の改善や睡眠リズムを整える工夫、必要に応じた薬の使用によって、症状を軽減することは十分可能です。

「眠れないのは自分の努力不足」と責めるのではなく、ADHD特有の脳の働きに起因する問題であると理解することが第一歩です。正しい知識を持ち、適切な対策を実践することで、より安定した睡眠と生活リズムを取り戻すことができるでしょう。