【発達障害の働き方】ADHDに必要な配慮事項5選

ADHDに必要な配慮事項5選

ADHD(注意欠如・多動症)は、生まれつきの脳機能の特性によって注意のコントロールや衝動の抑制が難しい発達障害の一つである。不注意や衝動性、多動性といった特徴が見られるが、その現れ方は人によって異なる。大人のADHDでは特に、仕事や人間関係において困難が生じやすいとされる。

ADHDは単なる性格の問題ではなく、医学的に認められている神経発達症である。そのため、本人の努力不足とみなすのは適切ではない。苦手な部分を理解し、周囲の配慮によって本来の能力を発揮できるように支援することが重要となる。

配慮事項とは

配慮事項とは

配慮事項とは、障害のある人が健常者と同じように働けるよう、企業側が行うサポートや環境の調整を意味する。これは「合理的配慮」とも呼ばれ、障がい者差別解消法によって法的に義務付けられている。

障害者雇用と一般雇用の大きな違いの一つが、この配慮の有無にある。障害者雇用では、当事者が働きやすいように一定のサポートが行われることを前提としている。逆に一般雇用では、障害に関する情報を開示しなければ配慮を受けにくい場合がある。そのため、本人が自らの特性を理解し、必要な配慮を伝えることが大切になる。

ADHDの苦手なことと配慮事項

1. マルチタスクが苦手

1. マルチタスクが苦手

ADHDの人は複数の作業を同時進行で行うことに強い負担を感じやすい。複数の指示を一度に受けると、注意が分散し、結果として効率が下がってしまうことがある。

【配慮事項】
業務を依頼する際には、同時にいくつもの作業を指示しないことが望ましい。具体的には「まずAを終えたらBに取り組む」と順序立てて伝えると理解しやすい。タスク管理表やチェックリストを活用すると、本人が混乱することを防げる。

2. 臨機応変な対応が苦手

予定や計画が急に変わると、ADHDの人は対応に困難を感じやすい。予測できない変更に直面すると混乱し、焦りが大きくなる傾向がある。

【配慮事項】
スケジュールの変更や新しい指示がある場合は、できるだけ早めに伝えることが重要である。突然の変更を当日になって伝えるのではなく、余裕を持って知らせることで安心感につながる。また、事前に「今後は状況によって予定が変わる可能性がある」と伝えておくことも有効である。

3. 口頭指示が理解しにくい

3. 口頭指示が理解しにくい

口頭での指示は、その場では理解できたつもりでも時間が経つと忘れてしまうことがある。特に複雑な内容や手順を含む場合、記憶だけに頼るのは難しい。

【配慮事項】
口頭で伝えるだけでなく、マニュアルを用意したり、メールやメモで残したりすることで理解を補うことができる。視覚的に確認できる形で残すと、本人は後から何度でも確認でき、ミスの防止につながる。

4. ケアレスミスが多い

ADHDの人は作業の正確性に課題を抱えやすい。単純な入力ミスや確認不足が繰り返されることもあるが、これは注意のコントロールが難しい特性に起因する。

【配慮事項】
本人を責めるのではなく、仕組みでミスを減らす工夫が必要である。ダブルチェックの体制を作る、誤りを検出しやすいソフトを導入するなどの方法が考えられる。また、短時間ごとに区切って作業を確認する習慣をつけることも効果的である。

5. 集中力の低下もしくは過集中

ADHDには集中が続かない一方で、逆に一つのことに極端に集中しすぎてしまう「過集中」が見られることもある。前者の場合は作業が途切れやすく、後者の場合は休憩を忘れて心身に負担をかけてしまう。

【配慮事項】
集中を妨げる雑音や他者の視線を避けられるよう、座席配置やパーティションの設置など環境調整を行うことが望ましい。過集中の場合は、上司や同僚がこまめに声をかけ、適度な休憩を取るよう促すことも大切である。タイマーやアラームを活用して時間を意識させる工夫も有効である。

まとめ

まとめ

ADHDは、本人の意欲や能力に関わらず、特性によって業務に困難が生じやすい。しかし、適切な配慮事項を導入することで、苦手な部分を補い、強みを発揮できる環境を整えることが可能となる。

マルチタスクを避けて指示を段階的に行う、予定変更を早めに伝える、口頭だけでなく文書で補足する、確認体制を整える、環境調整や休憩の促しを行う。こうした取り組みはADHDの人だけでなく、職場全体の効率やコミュニケーションの質を高める効果もある。

配慮事項は「特別な優遇」ではなく、誰もが働きやすい職場をつくるための工夫である。ADHDを持つ人が安心して力を発揮できる職場づくりは、結果として企業にとっても大きな利益となるだろう。