休職中のお金の不安を解消。傷病手当という制度を知っていますか?【うつ病/大人の発達障害】

病気やけがで長期間仕事を休まなければならないとき、給与が支払われなくなると生活に大きな不安が生じます。そのような状況をサポートするために用意されているのが「傷病手当」です。健康保険に加入している会社員や公務員が利用できる制度であり、うつ病などの精神疾患も対象に含まれます。ここでは、傷病手当の基本的な仕組み、支給条件、金額や期間、さらに退職後の取り扱いについて詳しく解説していきます。


傷病手当とは

傷病手当とは

傷病手当とは、業務外の病気やけがによって働けない状態が続くときに、収入を補う目的で健康保険から支給される手当金です。給与の代わりとなる制度のため、療養中の生活を支える大切な仕組みといえます。

特徴として、業務中や通勤中に発生したけがや病気は対象外です。これらは「労災保険」の補償範囲となるため、傷病手当ではなく労災から給付を受けることになります。また、うつ病や適応障害といった精神疾患も傷病手当の対象となるため、心身の不調で働けない人にとっても非常に心強い制度です。


傷病手当の支給条件

傷病手当の支給条件

傷病手当を受けるためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

1. 業務外の理由による病気やけがであること

仕事中や通勤途中に発生した事故や病気は労災保険の対象です。それ以外の日常生活やプライベートな場面での病気・けがが対象となります。うつ病や不安障害なども「業務外の理由」として認められます。

2. 連続する3日間を含み、4日以上仕事に就けない状態であること

傷病手当には「待期期間」というルールがあります。最初の3日間は支給対象外で、この期間を含めて4日以上連続で働けない場合に初めて支給されます。待期期間中は有給休暇を使っても構いませんが、その場合も待期としてカウントされます。

3. 休業中に給与が支払われていないこと

勤務先から給与が支払われている場合は、その金額が傷病手当より多ければ給付されません。ただし、給与の一部のみ支払われている場合は、その分を差し引いた額が傷病手当として支給されます。

これらの条件を満たすことで、生活を支えるための給付を受け取ることができます。


支給金額と期間

傷病手当の支給額は、直近12か月の平均月額給与の約3分の2に相当します。具体的には、標準報酬月額をもとに計算され、1日あたりの金額が決まります。給与が全額途絶えた場合でも、一定の収入を得られる点が大きなメリットです。

支給期間は最長で1年6か月です。ただし、この期間は連続して休職している場合だけでなく、一度復職して再び同じ病気やけがで休職した場合も通算されます。たとえば半年休んで復職し、その後数か月で再度休職した場合でも、最初に給付が始まった日から1年6か月以内であれば支給されます。

なお、申請を行ってから実際に給付が始まるまでには1か月程度かかるのが一般的です。療養を始めてすぐに支給されるわけではないため、当面の生活費については別途準備しておく必要があります。


退職後も給付を受け取れるケース

傷病手当は、原則として在職中に支給される制度ですが、条件を満たすことで退職後も受け取ることが可能です。そのためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

  1. 退職までに継続して1年以上健康保険に加入していること
  2. 退職時にすでに傷病手当を受け取っている、もしくは受給条件を満たしていること
  3. 退職日に出勤していないこと(有給消化中の退職であれば問題なし)

これらの条件を満たせば、退職後も最長1年6か月の範囲内で傷病手当を受け取ることができます。退職を控えている人にとっては大きな安心材料となるでしょう。


傷病手当と失業保険の関係

注意が必要なのは、傷病手当と失業保険は同時に受給できないという点です。失業保険は「働ける状態なのに仕事がない人」が対象であるのに対し、傷病手当は「病気やけがで働けない人」が対象となるため、性質が異なります。

しかし、失業保険は「受給期間延長申請」を行うことで、最大3年間延長できます。つまり、まず傷病手当を受けながら療養し、その後回復した段階で失業保険に切り替えて受給することが可能です。ハローワークで延長の手続きをしておけば、療養と就職活動をスムーズにつなぐことができます。


傷病手当を申請する際の注意点

制度を利用する際には、いくつかの注意点があります。

  • 医師の診断書が必要であり、勤務先と健康保険組合を通じて申請する
  • 支給までに時間がかかるため、生活費の準備をしておく
  • 休業期間が長引く場合は、定期的に追加の申請を行う必要がある

また、うつ病や適応障害の場合は症状が目に見えにくいため、診断書の内容や医師の説明が重要になります。主治医と十分に相談しながら、正確に状況を伝えてもらうことが大切です。


まとめ

傷病手当は、病気やけがによって働けないときに生活を支えるための制度です。業務外の病気やけがで働けなくなった場合、待期期間を経て給与の約3分の2が最長1年6か月にわたり支給されます。退職後も一定の条件を満たせば受給でき、失業保険との切り替えも可能です。

精神疾患を含む多くの病気が対象となるため、安心して療養に専念するためには制度を正しく理解し、必要に応じて活用することが欠かせません。生活や将来の見通しに不安を抱えるときこそ、制度の存在を知っていることが心強い支えになるでしょう。