アリピプラゾール(エビリファイ)について詳しく解説
精神科や心療内科で使用される薬の一つに、アリピプラゾール(商品名:エビリファイ)があります。本記事では、この薬の作用や特徴、使用用途、副作用などについて詳しく解説します。
アリピプラゾールとは?
アリピプラゾールは、脳内のドーパミンの働きを調整する薬です。ドーパミン受容体部分作動薬(パーシャルアゴニスト)として知られ、ドーパミンの過剰な働きを抑えたり、不足している場合は補ったりする特性を持っています。そのため、使用する量によって異なる病気の治療に用いられます。
脳内のドーパミンの役割
ドーパミンは、脳の神経伝達物質の一つであり、意欲や感情のコントロール、認知機能などに関与しています。
- ドーパミンが不足すると:意欲の低下や抑うつ症状が現れる。
- ドーパミンが過剰になると:幻覚や妄想、興奮状態になることがある。
アリピプラゾールは、このドーパミンの働きを調整することで、様々な精神疾患の症状を改善します。
アリピプラゾールの作用
アリピプラゾールは、脳のドーパミン受容体に部分的に作用します。そのため、使用量によって効果が異なります。
- 少量(1~6mg):ドーパミンの働きを促進し、うつ病の改善に使用。
- 中~多量(6~30mg):ドーパミンの働きを抑制し、統合失調症や躁状態の治療に使用。
このように、同じ薬でも使用量によって作用が変わるのが特徴です。
他の抗精神病薬との違い
一般的な抗精神病薬は、ドーパミン受容体を強く遮断することで、統合失調症や躁状態の症状を抑えます。しかし、ドーパミンを急激に減らすことで副作用(錐体外路症状など)が発生しやすくなります。
一方、アリピプラゾールはドーパミン受容体に部分的に作用するため、副作用のリスクが低いとされています。ただし、効果が現れるまでに時間がかかることがあり、急性期の治療には向かない場合があります。
抗うつ薬(SSRI)との違い
抗うつ薬(SSRI)は、主に脳内のセロトニンの働きを増強することで、うつ症状を改善します。一方、アリピプラゾールは少量使用することでドーパミンの働きを高め、うつの改善を促します。
そのため、うつ病の治療ではSSRIとアリピプラゾールを併用することが多く、相乗効果を期待して使われます。
適応病名と使用量
| 病名 | 初期用量 | 維持用量 | 最大用量 |
|---|---|---|---|
| うつ病・うつ状態 | 3mg | 1~6mg | 15mg |
| 統合失調症 | 6~12mg | 6~24mg | 30mg |
| 躁状態 | 24mg | 12~24mg | 30mg |
| 小児自閉症スペクトラム障害の易刺激性 | 1mg | 1~15mg | 15mg |
※ うつ病では、基本的に抗うつ薬と併用します。
主な副作用
アリピプラゾールの副作用は、使用量が多いほど発生しやすい傾向があります。
- アカシジア(足のムズムズ感)
- 不眠・浅い眠り(逆に眠気が出る人もいる)
- パーキンソン症状(歩きにくさ、筋肉のこわばり)
特にアカシジアは比較的頻度が高く、不快感を伴うため、必要に応じて薬の調整や対処薬が用いられることがあります。
病名ごとの使い方
① うつ病・うつ状態
- 原則として抗うつ薬と併用
- 1~3mgで開始し、副作用や効果を見ながら調整
- 個人差が大きいため慎重に調整
② 統合失調症
- 12mgで開始し、12~30mgで調整
- 急性期では興奮が強い場合、多めに使用
- 相性が悪い場合は他の薬に変更
- 再発予防においては副作用が少なく有用
③ 躁状態(双極性障害)
- 24mgで開始し、効果や副作用を見ながら調整
- 即効性が低いため、新規使用は入院が多い
- うつ状態から躁転した場合、増量で対応することも
④ 自閉症スペクトラム障害(小児期の易刺激性)
- 1mgで開始し、慎重に増量
- 適量の個人差が大きいため、状態を見ながら調整
- アカシジアや不眠に注意が必要
まとめ
アリピプラゾール(エビリファイ)は、ドーパミン受容体部分作動薬として作用し、使用量によって異なる効果を発揮する薬です。
- 少量(1~6mg):うつ病の改善に使用
- 中~多量(6~30mg):統合失調症や躁状態の治療に使用
- 副作用は比較的少ないが、個人差が大きいため慎重な調整が必要
幅広い病気に対応できる薬ですが、適量は人によって異なるため、主治医と相談しながら調整していくことが重要です。
本記事が、アリピプラゾールについて理解を深める助けになれば幸いです。