今回は、適応障害の治療時、仕事をどうするかのお話です。
適応障害の治療では、ストレスの対策が重要です。中でも置かれている環境の調整が大事となります。
仕事でのストレスにより適応障害となった方にとっては、この環境の調整は仕事をどうするかに掛かっています。
この場合ですと主に考えられる選択肢は、休職する・退職する・転職するの3つになってくるでしょう。
ただ、どの選択肢も長所と短所が存在します。
まずは休職する場合です。休職は業務を1ヵ月から3ヶ月間休み、休養とリハビリを行います。もし社会保険にご加入されている場合ですと、月給の6割程度が支給される「傷病手当金」という制度を適用でき、休みながらも少しではありますが、給料を1年半の間、休職しながらもらうことができます。
適応障害にとってストレスの元から離れることは、回復につながります。しかし休職の場合は、後に同じところへ復職をする必要があります。休職中に職場には環境の調整を行ってもらうなどの対策を打ってもらう等、何かしらの対処をしなければ復職後に適応障害の症状が再度現れる可能性が高いことに注意しましょう。
続いて退職をする場合です。仕事を思い切ってやめることでストレスを大幅に減らして回復することが出来ます。環境を一変するためにすぐに転職される方、しばらく療養を図る方もいると思います。
転職先があるなら、療養後にそこへ転職するのも手ですが、次の職場が決まっていない場合、それに関する様々なストレスも新たにかかってきます。
そして転職をする場合です。仕事の環境を一変できるので、前職で大きなストレスを抱えていた方にとっては、改善が見込まれます。しかし転職する上での条件や、新たな環境に慣れるためのストレスが別でかかってきます。
以上3つの選択肢の長所と短所をお話しました。
ここからは、実際に起こり得る場面を想定しながら、どのようにしていけば良いのかを説明していきます。
1:仕事はできるが、ストレスが続いている
仕事自体は出来ている。しかし、うつ症状や不眠、頭痛などの身体・自律神経症状が現れている状態の場合ですと、転職をするかどうかが要となってくるでしょう。
転職をすると、確かに現在の職場で受けているストレスはなくなり、それにより症状の改善が大いに見込まれます。ですが転職するとなると、転職する上での条件が前職より低くなる可能性もありますし、勤務年数も1からになってしまうというリスクも存在します。また、新たな環境に慣れるためのストレスものしかかってきます。
転職以外の方法を探ってみましょう。
1つは、ストレスがあることは自覚しつつ、割り切って仕事を進めて行くこと。
もう1つは、上司もしくは人事を担当する部署に相談し、職場内での環境の調整を考えてもらうこと。そして、日ごろから自身でもストレス対策を取り、仕事で受けたストレスを他で発散できるようにする状態にしていくこと。
まずは、職場に環境を整えてもらうことが出来ないかを相談しつつ、ご自身でストレス発散といった対策をしながら、もし転職するなら長所と短所をよく考えた上で、どのように行動するかを決めた方が良いでしょう。
2:仕事にいけない場合
出勤しようとすると、体に不調が生じる。仕事を続けるのが難しい状況では、休職をするか退職をするかのどちらかが選択肢となります。何故なら、仕事に行けない状態で転職をすると、職場が変わることで新たにストレスがかかりますし、新たなストレスの影響で症状が悪化するリスクもあります。
この場合、基本的には休職するほうが良いでしょう。
理由は、うつ状態などで不調な時は、本来の判断力が出せなくなっているからです。退職を決断することは、非常に大きなリスクがあります。退職をするかどうかを考えるのは、症状が比較的軽い時や、本来の判断力が出せるときに行う方が最適なのです。また、休職ですと先述の傷病手当金が支給されますが、退職時には手当金の支給はありません。しかし、転職した方が良い例外のパターンも存在します。
この場合は、社会保険に未加入なため手当金が受けられない、手当金を既に1年半以上もらっているために、新たな支給が受けられない、自身が信頼できる、配慮してくれる転職先がある時、そして職場から距離を取るとすぐ元気を取りもどせる時、このようなケースの方は転職も視野に入れると良いですが、基本的にはまず、休職することをお勧めします。
3:休職し、改善した後
適応障害はうつ病とは異なり、リハビリまでは早く進めることがあります。
再び元気を取りもどし、仕事に戻れる状態となった場合、主な選択肢は3つあります。
まずは、異動せずに元の職場へ復職する。慣れた環境に戻るので変化によるストレスは少なく済みますが、休職前と似たようなストレスが再度かかってきます。また休職前と同じ環境下だと、適応障害の症状が再び出る可能性もあります。
この選択を取る場合は、ご自身でストレスの対処方法を見直したり、会社にお願いをして環境の調整を図ってもらうなどの対策が必要になります。
次に、異動して元の職場へ復職する。この場合ですと、休職前に掛かっていたストレスから解放される一方で、新たな環境に慣れるストレスが別でかかってきます。また会社によっては異動が出来ないケースもありますので、この方法は出来る人が限られていると言っても過言ではないでしょう。
最後に、別の会社に転職をする。前職で受けたストレスを受けなくて済みますが、転職という大きな変化により、別の新たなストレスがかかってきます。
もし休職した後に復職・転職を考える場合は、一先ず会社に復職する条件を聞き、その上で異動が可能かを判断してもらってから、3つの選択肢の中から自分にあった方法を選ぶのが良いでしょう。
4:退職や転職を繰り返している場合
何度もお話していますとおり、適応障害には原因となるストレスが発生する環境を調整するのが大事になってきます。しかし、何度も何度も退職や転職を繰り返している場合は、別の見方をした方が良いかと思われます。
まずは、就労業種・働き方を変えてみる方法です。同じ業種に転職してもそれが長続きしない場合、別の業種に変えてやってみる。大企業で働いても長続きしない場合は、思い切ってフリーランスで頑張ってみたり、中小企業で頑張ってみたり。それぞれ長所と短所が存在しますので、総合的に検討してみると良いでしょう。
続いて、ストレスへの対処を変えてみる方法です。自分の考え方のクセの影響や、些細なことでストレスがたまってしまう場合は、その部分を見直してみたり調整してみることで、自身のストレスへの対処法を変えてみます。
そして最後に、発達障害の可能性です。子供の頃を振り返ってみて、あの頃から不注意があった、対人関係が苦手だった、その場合はもしかするとADHDやASDが隠れていて、その特性から転職や退職を繰り返してしまうほど、職場に定着できない状態になっているのかもしれません。子供の頃から、不注意や対人関係で難がある自覚がある方は、一度病院で見てもらうことも視野に入れた方が良いと思われます。
適応障害は、原因となるストレスに対する環境の調整が、回復後の生活に大きな影響を与えます。
主な3つの選択肢である、休職する・退職する・転職する、そのどれもが長所と短所を持ち合わせています。自分の置かれている立場や状況などを総合的に見て熟考した上で、回復後の道筋を決めていくのが望ましいのです。