採血結果で栄養状態みるときアルブミンしか見てないのはナンセンスです

テーマ:アルブミンから分かる栄養状態について

アルブミンは血液中に最も多く存在するタンパク質であり、重要な働きを担っています。具体的には、血液中の水分を保ち、血管内の浸透圧を維持する役割や、ミネラル・酵素・薬剤などの物質を運搬・保持する働きをしています。健康診断の血液検査でも、この数値を確認することができます。アルブミンは食事から摂取したタンパク質が体内で分解され、アミノ酸へと変化し、肝臓で合成されることで作られます。そのため、アルブミンは「栄養状態の指標」として広く認識されています。文献によると、アルブミンの正常値は3.5~5.0 g/dLとされています。栄養状態を適切に評価し、医療者が必要に応じて介入することは、患者のADL(日常生活動作)の向上や創傷治癒の促進、免疫力向上といった多くのメリットをもたらします。そのため、看護師は日頃から患者の栄養状態に注目し、積極的に関わる必要があります。

アルブミンの数値が低い=栄養状態が悪い?

もし尿路感染症で入院した患者の採血結果を見たとき、アルブミン値が2.8 g/dLと低い数値だった場合でも、アルブミンの数値だけでは栄養状態を正確に判断することはできません。なぜなら、アルブミンの半減期は21日と長く、リアルタイムの栄養状態を反映することが難しいからです。さらに、アルブミンが低下する原因は低栄養状態以外にも多く存在します。例えば、感染症や手術後など体に侵襲が加わると炎症反応が起こります。その際、体内では抗体を活性化させるためにCRP(C反応性タンパク質)が肝臓で合成されます。CRPとアルブミンは同じく肝臓で合成されるため、炎症反応が起こるとCRPの合成が優先され、アルブミンの合成効率が低下してしまいます。その結果、血液検査でアルブミンの値が低下することになります。

他にも、以下のような原因でアルブミンは低下します。

  • タンパク異化反応:手術など強い侵襲によってエネルギー不足が生じた際、体内のタンパク質が分解されることでアルブミンが低下。
  • 肝臓機能の低下:アルブミンを合成する肝臓が機能低下している場合。
  • 腎疾患(ネフローゼ症候群):アルブミンが尿中に排出されることで血中濃度が低下。

このように、アルブミンが低いからといって必ずしも栄養状態が悪いとは限らず、リアルタイムの栄養状態を表しているわけではないことが分かります。

リアルタイムの栄養状態を評価する指標

それでは、リアルタイムの栄養状態を評価するにはどうすればよいのでしょうか?実は、アルブミン以外に以下の指標がリアルタイムの栄養状態を反映すると言われています。

  1. プレアルブミン
  2. レチノール結合タンパク(RBP)
  3. トランスフェリン

これらの指標はアルブミンと同じく肝臓で合成されますが、半減期が比較的短いことが特徴です。そのため、ラピッドターンオーバープロテインと呼ばれ、リアルタイムの栄養状態を反映します。

ただし、これらの検査項目は全ての患者に対してルーチンで検査されるわけではなく、臨床の現場でも頻繁に確認することは少ないのが現状です。必要な場合は、医師に追加検査のオーダーを依頼する必要があります。

実用的な栄養状態の評価指標

さらに実用的な栄養状態の評価指標としては、アルブミンの他に以下の項目が挙げられます。

  • 総コレステロール
  • コリンエステラーゼ

これらは食事で摂取した栄養素が肝臓で代謝されることで生成される物質です。肝臓が正常に機能していれば、基本的に基準値内に収まるため、栄養状態の指標として活用できます。

アルブミンと同様にリアルタイムの栄養状態を反映する指標ではありませんが、これらの項目のうち1つでも基準範囲内にあれば、「数日前までは十分に食事摂取ができていた」と判断できます。これらの検査結果はルーチン検査に含まれることが多く、日常的に確認しやすい指標です。

まとめ:栄養状態の評価とアプローチ

栄養状態の評価にはアルブミンがよく用いられますが、リアルタイムの状態を正確に把握するためにはプレアルブミンやレチノール結合タンパク、トランスフェリンなどの短半減期タンパク質も重要です。また、総コレステロールやコリンエステラーゼといった実用的な指標を活用することで、より実践的な栄養評価が可能となります。 低栄養状態は治療の妨げとなり、患者に不利益をもたらすため、入院時から栄養状態を評価し、必要に応じて栄養サポートチーム(NST)へ相談することが重要です。患者の栄養面に注目し、適切にアプローチしていくことで、治療効果や患者のQOL向上につなげることができます。