強迫性障害とは
強迫性障害(OCD:Obsessive-Compulsive Disorder)は、不安を背景に「強迫観念」と、それを打ち消すための「確認行為」が繰り返される精神疾患の一つです。

この病気は、日常生活に大きな支障をもたらすことがあり、適切な治療が必要となります。本記事では、強迫性障害の主な症状や原因、治療法について詳しく解説していきます。

1. 強迫性障害の主な症状
強迫性障害の症状は、大きく「強迫観念」と「確認行為」の2つに分けられます。

(1) 強迫観念
強迫観念とは、頭の中に不安や気になることが繰り返し浮かび、なかなか消えない状態を指します。この考えが非合理的であると本人も理解していることが多いのですが、どうしても気になってしまい、コントロールが難しくなります。代表的な強迫観念には、以下のようなものがあります。
・不潔恐怖
「手が汚れているのではないか」「ウイルスや細菌が付着しているのではないか」といった考えが頭から離れない。

・加害恐怖
「誰かに危害を加えたのではないか」「事故を起こしてしまったのではないか」と心配になる。

・確認強迫
「戸締りをし忘れたのではないか」「火を消し忘れたのではないか」と何度も気になってしまう。

・儀式的観念
「ある特定の行動をしないと不幸が訪れる」と考え、決まった行動を取らなければ気が済まなくなる。

(2) 確認行為
強迫観念によって生じた不安を打ち消すために、特定の行動を繰り返すことを「確認行為」といいます。例えば、「手が汚いのではないか」という不安がある場合、手洗いを過剰に行うことがあります。初めは5分程度だった手洗いが、10分、30分、さらには1時間以上に及ぶこともあります。
このような確認行為は一時的に不安を和らげますが、次第に回数や時間が増え、悪循環に陥ってしまいます。代表的な確認行為には以下のようなものがあります。
・手洗いの繰り返し(不潔恐怖)
・鍵やガスの元栓を何度も確認する(確認強迫)
・不要なものを捨てられず、ため込んでしまう(収集強迫)
・特定の言葉を何度も唱える(儀式的行動)

このような症状が日常生活に影響を及ぼし、仕事や学校、家庭生活に支障をきたすことがあります。

2. 強迫性障害の原因
強迫性障害の原因は完全には解明されていませんが、主に以下の3つの要因が関連していると考えられています。
(1) 生まれ持った性格
元々、不安を感じやすい性格の人は、強迫性障害を発症しやすい傾向があります。几帳面で責任感が強い人や、完璧主義な人は、些細なことでも過剰に気にしてしまい、強迫観念が生じやすいとされています。

(2) 過去の経験や環境要因
過去に強いストレスを感じる出来事や、緊張を強いられる経験をしたことが、強迫性障害の発症に関係している場合があります。例えば、厳格な家庭環境で育った人や、強いプレッシャーのもとで生活していた人は、強迫観念を持ちやすいとされています。

(3) 脳の機能異常
脳内の神経伝達物質である「セロトニン」のバランスが崩れることが、強迫性障害の発症に関与していると考えられています。この点では、強迫性障害はうつ病と似たメカニズムを持っているとされ、薬物療法が有効である理由の一つとなっています。

3. 強迫性障害の治療法
強迫性障害の治療には、主に「薬物療法」と「曝露反応妨害法」の2つが用いられます。
(1) 薬物療法
薬物療法では、主に 抗うつ薬(SSRI:選択的セロトニン再取り込み阻害薬) が使用されます。強迫性障害では脳内のセロトニン不足が関与していると考えられているため、抗うつ薬を服用することで症状を緩和することができます。

・効果が現れるまでに 2~3週間 かかることが多い。
・強迫性障害では、うつ病よりも 高用量 の抗うつ薬が必要になる場合がある。
・必要に応じて 抗不安薬 を併用することもあるが、依存のリスクがあるため慎重に使用する。
(2) 曝露反応妨害法(ERP: Exposure and Response Prevention)
曝露反応妨害法は、行動療法の一つで、「不安に慣れること」を目的とした治療法です。例えば、不潔恐怖がある場合、あえて手を洗わずに過ごし、不安が徐々に薄れていくことを経験することで、確認行為を減らしていきます。

(例)手洗いの強迫行為を減らす場合
まずは「手を洗いたい衝動が出ても、すぐには洗わない」ことを試す。
少しずつ手洗いの回数や時間を減らしていく。
徐々に不安が減ることで、確認行為をやめることができるようになる。
この治療法は、最初は強い不安を伴いますが、続けることで強迫観念が和らぎ、症状の改善が期待できます。
4. 強迫性障害治療の3つのステップ
強迫性障害の治療は、次の3段階で進めるのが一般的です。
初期段階
抗うつ薬を服用しながら、不安を軽減する。
症状の程度や薬の相性を見極める。
中期段階
曝露反応妨害法を並行して行い、不安に慣れていく。
少しずつ確認行為を減らす努力をする。
終盤(維持・再発予防)
症状が改善してきたら、薬の量を徐々に減らす。
必要に応じて心理療法を継続し、再発を防ぐ。
まとめ
強迫性障害は、強迫観念と確認行為の悪循環によって引き起こされる精神疾患ですが、適切な治療を受けることで改善が可能です。薬物療法と曝露反応妨害法を組み合わせることで、多くの患者が日常生活を取り戻しています。

症状が気になる方は、早めに専門医に相談することをおすすめします。
