PCPS(VA ECMO)の何故?を解決 看護師が知りたい観察ポイントや注意点について

PCPSの観察ポイント

はじめに

PCPSを使用している患者を担当する際、多くの看護師は緊張感を覚えるものです。機械の操作や使用薬剤、患者の不安定な全身状態など、不安材料は数多く存在します。交感神経が高ぶる状況下で、的確な判断と行動が求められるのは間違いありません。本稿では、PCPSの患者を担当する際に気をつけるべきポイントを3つに絞って解説します。


1. PCPSによる心臓への負担

PCPSは、足の付け根から動脈および静脈にカニューレを挿入し、右心房から回収した静脈血を人工肺に通して酸素化し、動脈に返すことで呼吸・循環動態を補助する機械です。しかし、PCPSが体内へ血液を返却する際、自然な血液の流れとは逆方向に流れます。これにより、患者の心臓から拍出される血液とPCPSの血流が衝突し、患者の心臓に負荷をかける原因となります。

心臓が収縮を続けることで負荷が増大し、特に重症患者ではPCPSによる負担が持続することで、心臓が血流に打ち勝てず、心不全や肺水腫を引き起こすリスクが高まります。そのため、PCPSの血液流量を必要以上に増やすことは避けるべきです。

患者の全身状態を観察する際には、以下の指標を活用し、心臓への過剰な負荷を早期に発見することが重要です。

  • 右心機能の評価(心エコーなど)
  • 採血データ(SvO2や乳酸値)
  • 尿量

また、些細な変化にも気づけるよう、循環動態の変化を継続的にモニタリングすることが求められます。


2. 腎不全のリスク

循環動態が不安定な患者では、腎臓への血流が不足することで急性腎不全を引き起こす可能性があります。さらに、PCPS使用中の患者では、腎血流が保たれている場合でも急性腎不全のリスクが存在します。その原因として挙げられるのが溶血です。

PCPSは、血液を機械的に回収するため、赤血球が破壊されやすい状況を生み出します。この過程で赤血球内のヘモグロビンが血液中に放出されると、腎臓の糸球体や尿細管にダメージを与え、腎機能障害を引き起こす可能性があります。

溶血を見逃さないためには、以下の観察が重要です。

  • 尿の色:ヘモグロビン尿(赤色尿)が現れる場合があります。
  • 血液データ:溶血が疑われる場合、ハプトグロビン値や遊離ヘモグロビンの確認が必要です。

溶血が確認された場合、適切な処置(ハプトグロビンの投与など)を迅速に行うことで、腎障害の進行を防ぐことが可能です。尿の観察を日常的に行い、異常があれば即座に報告・対応することが重要です。


3. PCPSの長期使用による影響

PCPSは呼吸や循環動態が不安定な患者に対し、強力な補助を提供する機械ですが、長期間の使用は身体に悪影響を及ぼす可能性があります。その主な理由として炎症反応が挙げられます。

PCPSの使用にはカニューレの挿入が必要不可欠ですが、体にとっては異物であり、これにより炎症反応が引き起こされます。炎症反応では、ヒスタミンやロイコトリエン、炎症性サイトカインといった物質が放出され、以下のような問題を引き起こします。

  • 毛細血管の透過性亢進
  • 血圧低下
  • 全身の浮腫

これが過剰に進行すると、全身性炎症反応症候群(SIRS)に発展し、さらに細菌感染を契機として多臓器不全を引き起こすリスクが高まります。そのため、PCPSの使用は通常4–7日程度に制限され、循環維持の一時的な手段として活用されます。

長期使用のリスクを踏まえ、患者の生体反応を適切にアセスメントし、炎症の兆候を早期に発見することが重要です。また、カテーテル挿入部の感染管理や人工呼吸器関連性肺炎の予防も看護師の重要な役割となります。


まとめ

PCPSは、循環動態をサポートする優れた医療機器ですが、使用に伴うリスクを理解し、適切な管理を行うことが重要です。心臓への負担、腎不全のリスク、長期使用による炎症反応の影響を常に念頭に置き、患者の状態を細やかに観察しましょう。

患者の安全と治療効果を最大限に引き出すために、知識を深め、迅速かつ適切な対応を心がけることが大切です。