【丁寧に解説】大動脈解離ってどんな症状からのどんな手術されるの?

大動脈解離は、急性かつ重篤な疾患で、治療や術後の看護において高い専門性が求められます。この病気は、大動脈の壁が裂けることで発生し、さまざまな合併症を引き起こします。急性大動脈解離に対する人工血管置換術の実施とその後の看護について、詳細に解説します。

1. 大動脈解離のメカニズムと症状

人間の大動脈は、中膜、内膜、外膜の三層構造から成り立っています。大動脈解離は、内膜が裂け、血液が中膜に入り込むことで発生します。この状態では、血液が裂けた部分を通って中膜に流れ込み、さらなる裂け目が進行することがあります。これには、血管が閉塞し血流が途絶える「閉鎖型」と、血液が流れ続ける「開放型」の二つの形態があります。

大動脈解離の発症原因としては、過度な負担をかける運動や外的な衝撃、また高血圧や動脈硬化、交通事故などが挙げられます。特に、寒冷地での急激な気温の変化が引き金になることもあります。

最も顕著な症状は突然の激しい胸痛で、血管が裂けるような痛みが感じられます。痛みは胸部から腹部、腰、脚へと広がり、痛みの部位が変動することも特徴です。さらに、大動脈解離が進行すると、大動脈弁が拡張し、閉鎖不全症が発症する可能性もあります。この状態では血液が逆流し、心臓に負担がかかり、呼吸困難や腎不全が生じることがあります。

2. 大動脈解離の診断と治療

大動脈解離の診断には、CTスキャンやMRIを用いて、解離の進行状況や解剖的な影響を確認します。その後、スタンフォード分類に基づき、治療方針が決定されます。

スタンフォード分類には、A型とB型があり、A型は緊急性が高く、48時間以内に手術が必要とされます。B型の場合は、血圧管理などの内科的治療で経過を見ながら対応することが多いですが、進行した場合は手術が検討されます。

A型の大動脈解離の治療には、人工血管を使った置換術が行われます。手術は、解離部分を切除し、その部分を人工血管に置き換えるという方法です。手術は複雑で、特に大動脈弓部の手術では脳への血流を維持するために人工心肺が使用されることがあります。

3. 人工血管置換術後の看護

術後の患者は、多くの合併症リスクを抱えており、看護師はその管理に細心の注意を払う必要があります。以下の点に留意して看護を行います。

3.1 出血のリスク管理

大動脈解離手術後、最も注意が必要なのは出血のリスクです。大動脈がもろくなっているため、術後の出血に対して慎重に管理する必要があります。また、人工心肺を使用した手術後は、血液がサラサラになる薬が使用されるため、出血リスクが高まります。患者の体温が低下していると血液の凝固機能が低下するため、体温の管理が非常に重要です。

3.2 血圧の管理

術後の血圧コントロールも重要です。血圧が上昇すると、脆弱な血管に圧力がかかり、出血を引き起こす可能性があります。降圧剤を使って血圧を安定させることが求められます。

3.3 ドレーンのモニタリング

術後のドレーンは出血や感染の兆候を確認するための重要なツールです。ドレーンからの排液量や性状をモニタリングし、異常があればすぐに医師に報告します。

3.4 神経学的症状の監視

手術中に脳への血流が一時的に途絶えることがあるため、術後は神経学的症状の確認が必要です。患者の意識レベルや手足の動き、異常の有無に注意を払い、異常があれば速やかに対応します。

3.5 呼吸器の管理

術後には人工呼吸器が使用されることが多いため、呼吸器関連の合併症に注意が必要です。特に、呼吸器感染症やARDS(急性呼吸窮迫症候群)が発生することがあり、適切な気道管理や口腔ケアが求められます。

3.6 嚥下機能の評価

人工呼吸器からの離脱後、嚥下機能に障害が生じることがあります。大動脈解離の手術では、嚥下に関与する神経が損傷を受けることもあり、誤嚥や嚥下困難が起こる可能性があります。そのため、嚥下機能の評価と、必要に応じて摂取方法の見直しが行われます。

4. まとめ

急性大動脈解離は、生命を脅かす緊急疾患であり、治療には高度な医療技術と精密な術後管理が求められます。手術後の看護は多岐にわたり、患者の状態を細かく観察し、適切な処置を行うことが重要です。看護師は、出血管理、血圧コントロール、ドレーン管理、神経学的観察、呼吸器管理、嚥下機能の評価など、さまざまな側面で患者を支える役割を担っています。多職種の連携を深め、患者の早期回復に向けた質の高いケアを提供することが、最終的に患者の社会復帰と健康回復に繋がります。