突然ですが、「DMAT」という言葉をご存知でしょうか?
医療従事者の方であれば一度は耳にしたことがあるかもしれません。
DMATとは「災害派遣医療チーム(Disaster Medical Assistance Team)」の略称で、大規模災害や事故が発生した際に、急性期から活動することを目的とした専門的な訓練を受けた医療チームです。
この記事では、DMATの成り立ちや役割、そして看護師がDMAT隊員になるための条件や手順について詳しくご説明します。
私自身もDMAT隊員として活動した経験がありますので、その知見も踏まえながらお伝えします。
DMATが誕生した背景

DMATが発足した背景には、1995年に発生した「阪神淡路大震災」が大きく関係しています。
この震災では、救命可能だったとされる「避けられた災害死」が約500名存在したと報告されています。
この教訓から、初期医療体制の強化が必要であると認識され、2005年(平成17年)4月に厚生労働省主導で「日本DMAT」が正式に発足しました。
以降、DMATは2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震など、多くの災害現場で活躍してきました。
その姿はメディアでも取り上げられ、SUPER EIGHTの大倉忠義さん主演ドラマ『Dr.DMAT』の中で描かれたことで、さらに多くの人々に知られるようになりました。
DMAT隊員になるために必要な条件

看護師がDMAT隊員になるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。
以下でその詳細をご説明します。
- 災害拠点病院での勤務
まず、DMAT隊員になるためには、各都道府県が指定する「災害拠点病院」に勤務していることが必要です。
現在の勤務先が指定病院でない場合、まずは転職を検討する必要があります。 - 看護師としての実務経験
看護師としての5年以上の実務経験が必須条件となっています。
この経験は、災害現場で冷静な判断を下すための基盤となる重要な要素です。 - 病院での選抜
災害拠点病院に勤務していれば自動的にDMAT隊員になれるわけではありません。
病院ごとに選抜基準や募集枠が設けられており、例えば以下の経験やスキルが重視される場合があります。
救急外来(ER)や集中治療室(ICU)の勤務経験
ICLS(救命処置の研修)やその他の災害医療関連研修の修了 そのため、「DMAT隊員になりたい」という意志を明確にアピールし、日頃から自己研鑽を積むことが重要です。
DMAT隊員になるための研修

病院からの選抜を受けた後は、DMAT隊員養成研修を受講する必要があります。
この研修は全国各地で実施されており、災害現場で必要となるスキルを学びます。
研修内容の例
・トリアージの実践
傷病者の緊急度や重症度に応じて、治療の優先順位を決める訓練を行います。
・後方支援スキルの習得
通信や移動手段の確保、医薬品の管理、生活支援の方法など、災害現場での支援活動を学びます。
研修は通常2~3日間で行われ、修了後に試験に合格することでDMAT隊員として認定されます。
なお、資格取得後も5年ごとに更新が必要です。
DMAT隊員として必要なスキル
DMAT隊員には、以下のようなスキルが求められます。
- 冷静な判断力
災害現場では混乱が伴うため、冷静な状況判断が欠かせません。 - 限られた医療資源を活用する能力
医療器具や人員が不足する現場でも最善の医療を提供できるスキルが必要です。 - 高いコミュニケーション能力
他職種や他施設との連携が求められる場面が多く、的確な情報共有が重要です。
DMAT隊員になるメリット

DMAT隊員として活動することで得られるものは、給与の増加だけではありません。
以下にそのメリットを挙げます。
- やりがいのある経験
通常の病院勤務では得られない達成感や責任感を感じることができます。
災害現場での活動は、自身のスキルを最大限に発揮できる機会です。 - 大切な人を守る力
災害医療スキルを身につけることで、家族や友人など大切な人を守る手助けができるようになります。 - 看護師としての幅を広げる
病院内にとどまらず、地域や国を超えて活動する看護師としての新たな道を切り開くことができます。
まとめ
DMATは、大規模災害や事故が発生した際に、被災地で初期医療を提供する重要な役割を果たしています。
看護師がDMAT隊員になるためには、災害拠点病院での勤務や5年以上の実務経験、さらには病院内での選抜を通過する必要があります。
DMAT隊員としての活動は、給与面のメリットだけでなく、災害医療に携わるやりがいや、大切な人を守る力を身につけることができる魅力的なものです。
もし興味がある方は、まずは勤務先や周囲の医療関係者に相談し、自分の目指すキャリアを明確にしてみてはいかがでしょうか。
災害医療における第一歩として、この記事が皆さんの参考になれば幸いです。