アナフィラキシーショックについて
本日は「アナフィラキシーショック」について説明します。この言葉は、医療従事者でなくても耳にしたことがあるかもしれません。まず、アナフィラキシーとは、特定のアレルゲンが体内に侵入することで、複数の臓器に全身性のアレルギー症状を引き起こす状態を指します。
アレルギー反応とは
アレルギー反応は、私たちの免疫システムが誤作動を起こし、害のない物質を有害と誤認してしまうことで発生します。通常、私たちの免疫システムは、細菌やウイルスなどの異物が侵入した際に抗体を作り、体を守ります。しかし、食べ物や花粉のような無害な物質に対しても過剰に反応してしまう場合があります。この反応を引き起こす物質を「アレルゲン」と呼び、何に反応するかは人それぞれ異なります。

アナフィラキシーのメカニズム
アレルギー反応において重要な役割を果たすのが「IgE抗体」というたんぱく質です。この抗体は、皮膚や粘膜に存在する「マスト細胞」の表面に付着しています。アレルゲンが侵入すると、IgE抗体と結合し、マスト細胞からヒスタミンなどの化学物質が一斉に放出されます。ヒスタミンは、気管支の収縮、血管の拡張、血管透過性の亢進などを引き起こします。この結果、アレルギー症状が現れます。
アナフィラキシーショックの特徴
アナフィラキシーの症状としては、皮膚や粘膜の異常(じんましん、腫れ)に加え、呼吸器症状や循環器症状が挙げられます。これらの症状が複数同時に現れる場合、アナフィラキシーと診断されます。さらに、血圧低下や意識障害が加わると「アナフィラキシーショック」と呼ばれる状態になります。この状態は短時間で生命の危機を招くため、迅速な対応が必要です。

アナフィラキシーショックの病態
アナフィラキシーショックは「分布異常性ショック」の一種で、ヒスタミンの作用により血管が拡張し、血液の循環量が相対的に減少します。その結果、全身への酸素供給が不十分になり、臓器不全や呼吸停止を引き起こす可能性があります。また、喉頭浮腫(喉のむくみ)による気道閉塞も見られ、これが進行すると酸素の取り込み自体ができなくなります。
治療と対応
アナフィラキシーショックが疑われた場合、最初に高濃度酸素の投与が行われます。必要に応じて気管内挿管を実施し、気道確保を最優先とします。また、ショック状態にある患者には、迅速な輸液で血液循環量を補います。
薬剤治療の第一選択として用いられるのが「アドレナリン」です。アドレナリンは交感神経のアルファ受容体に作用して血管を収縮させ、血圧を上昇させます。また、ベータ2受容体を刺激することで気管支を拡張し、呼吸困難を改善します。筋肉注射が一般的で、大腿部に0.3mgが投与されます。静脈注射は不整脈のリスクがあるため避けられます。

さらに、アナフィラキシー症状の再発を防ぐ目的で「ステロイド薬」が使用されます。これは、症状が一時的に治まった後でも数時間以内に再発する「二相性反応」を防ぐためです。この他、ヒスタミンの作用を抑える抗ヒスタミン薬や、気管支を拡張する薬剤も併用されます。
迅速な対応の重要性
アナフィラキシーショックは一刻を争う緊急事態です。そのため、患者の状態やアレルゲンの特定、過去の反応歴を迅速に把握し、適切な治療を行うことが求められます。
以上がアナフィラキシーショックに関する説明です。正しい知識を持ち、迅速な対応ができることが、患者の生命を守る鍵となります。