日常生活の中で、「めまいがする」という声を耳にすることは珍しくありません。
めまいは、医療従事者でなくてもよく聞く一般的な症状の一つであり、救急外来でも頻繁に訴えられる症状です。
しかし、その裏に重大な疾患が隠れている可能性があるため、決して軽視してはならない症状でもあります。
本記事では、「見逃しがち!危険な眩暈のサイン」について詳しく説明し、医療現場でどのように対処すべきかを考察します。
めまいとは何か?

めまいとは、周囲や自分自身が実際には動いていないのに、動いているように感じる症状です。
この感覚は、身体のバランスを保つ役割を果たしている三半規管などに異常が生じた結果として起こります。
平衡感覚を失うこの不快な状態は患者にとって苦痛ですが、医療者からは軽視されがちな傾向があります。
実際、病棟や外来で「めまいがするんです」と患者が訴えた際、「急に動いたからではないですか?少し休んでください」といった対応で終わることも少なくありません。
しかし、めまいの背後には、稀に重大な疾患が隠れている可能性があります。
このため、めまいを主訴とする患者が来た際には、問診や身体観察を通じて危険な疾患の可能性を排除する必要があります。
めまいの種類と分類

めまいは大きく分けて中枢性めまいと末梢性めまいの2種類があります。
- 中枢性めまい
中枢性めまいは、小脳出血や延髄梗塞など脳疾患が原因で発生します。前庭神経に異常が生じることが特徴です。 - 末梢性めまい
一方、末梢性めまいは、前庭神経以外の原因によるもので、比較的軽度な症例が多いとされていますが、見逃してはならない疾患も含まれます。
また、めまいの症状そのものは以下の3種類に分類できます。
- 回転性めまい
周囲がぐるぐる回っているように感じるタイプ。主に三半規管の異常が関与します。 - 浮動性めまい
頭や足がふわふわしたり、立ち上がるとふらつくように感じるもの。 - 失神性めまい
目の前が真っ暗になるような感覚を伴うめまい。血流不足が原因となることが多いです。
問診の重要性
患者から「めまい」と一言で言われても、その内容は曖昧な場合が少なくありません。
そのため、次のようなポイントを明確にすることが重要です。
・ どのようなめまいか
回転性、浮動性、失神性などの分類を基に症状を詳細に確認します。
・ めまいが起きるタイミング
例えば、頭を横に振ったとき、立ち上がったとき、あるいは安静時など、具体的な状況を把握します。
・ めまいの継続時間
一瞬で終わるのか、数分続くのか、あるいは断続的に長時間続くのか。
・ 随伴症状
吐き気や嘔吐、麻痺症状、視覚異常など、他に見られる症状についても確認します。
身体観察のポイント
問診と並行して、身体観察を進めます。
特に以下の点を重視しましょう。
- 神経学的異常の有無
・ 麻痺症状
・ 対光反射の異常
・ 構音障害(発音が不明瞭になる症状)
・ 複視(視界が二重に見える症状)
- 眼振の確認
末梢性めまいでは、黒目が揺れる「眼振」が特徴的です。一方的に揺れる場合は末梢性めまいの可能性が高いですが、中枢性めまいの場合は多方向性の眼振がみられることもあります。
中枢性めまいの危険性
中枢性めまいは、小脳出血や脳梗塞などの重篤な疾患が原因となるため、迅速な対応が必要です。回転性や浮動性のめまいに加え、麻痺や構音障害、複視などの神経学的異常がみられた場合は、脳卒中の疑いを持つべきです。医師に報告し、頭部CTやMRI検査で迅速に原因検索を行うことが求められます。
〈末梢性めまいの原因と治療〉
末梢性めまいの原因は多岐にわたり、代表的なものに次の疾患があります。
- 良性発作性頭位めまい症
朝起き上がるときや寝返りを打つときに起こることが多いです。治療にはエプリー法が用いられ、耳石を元の位置に戻すことで症状が改善します。 - メニエール病
内耳の障害が原因で、回転性めまいと難聴を伴うことが特徴です。 - 前庭神経炎
ウイルス感染が原因で前庭神経が炎症を起こします。
これらの症状は中枢性めまいほどの緊急性はありませんが、医師に適切に報告し、治療を進める必要があります。
失神性めまいの注意点
失神性めまいは、血流不足や心臓の問題が原因で発生します。
不整脈や弁膜症、大動脈弁狭窄症、起立性低血圧などが主な原因です。
このタイプのめまいは転倒や外傷のリスクを高めるだけでなく、循環動態の破綻によって全身の状態が悪化する恐れがあります。
そのため、心電図モニターやバイタルサインの確認が欠かせません。
まとめ
めまいは一見すると軽視されがちな症状ですが、その背後には重大な疾患が隠れている可能性があります。
問診で症状の種類や発生状況を詳細に把握し、身体観察を通じて神経学的異常や他の随伴症状を確認することが重要です。
患者の言葉に耳を傾け、迅速かつ適切な対応を行うことで、重篤な疾患の見逃しを防ぐことができます。
日々の医療現場で、めまいという症状に対する理解を深め、患者の安全を守る意識を持ち続けることが求められます。
今回の情報が少しでもお役に立てれば幸いです。