心房細動の症状や治療、心電図について解説 放置すれば命の危険も…

心房細動の病態と危険性

本稿では「心房細動」の病態とその危険性について解説します。まず、心房細動の基本的なメカニズムから説明し、その後、症状や合併症、治療法について述べます。


心房細動のメカニズム

人間の心臓は4つの部屋(右心房、右心室、左心房、左心室)から構成され、上部を「心房」、下部を「心室」と呼びます。通常、心臓は心房から心室へと電気的な刺激が伝わり、それに応じて規則正しい収縮と拡張を繰り返すことで全身に血液を送り出します。

しかし、心房細動では、心房が小刻みに震えるような異常な収縮を繰り返します。この細動は1分間に400回以上に達することもあり、正常な収縮が行えなくなります。ただし、この異常な電気刺激のすべてが心室に伝わるわけではなく、「房室結節」という電気信号の通過ポイントで調整が行われます。そのため、心拍数が400回という極端な値になることは避けられますが、不規則な脈拍(動悸)を引き起こします。


症状とその影響

心房細動による代表的な症状は以下の通りです:

  • 動悸: 不規則で速い脈を感じる。
  • 気分不快感: 胸部の違和感や息苦しさ。
  • 血圧低下: ショック状態に陥る可能性もある。

心房は血液のリザーバーとしての役割を果たし、その収縮は心拍出量の約20%を担っています。そのため、心房が十分に収縮しないと血圧が低下し、全身の血液循環に影響を及ぼします。


診断方法

心房細動の診断には、主に心電図検査が用いられます。心電図では次のような特徴が認められます:

  1. P波が消失: 正常な心房収縮を示す波形が見られない。
  2. 細動波(F波)の出現: 心房が震えるような電気活動による小刻みな波形。
  3. RR間隔の不整: 心室の収縮間隔が不規則。

これらの所見が確認されれば、心房細動が疑われます。


心房細動の原因

心房細動の原因は多岐にわたります。主な要因として以下が挙げられます:

  • 心疾患(心筋梗塞や弁膜症など)
  • 高血圧
  • 慢性的な肺疾患
  • ストレスや睡眠不足
  • アルコールやカフェインの過剰摂取

放置するリスク

心房細動を治療せずに放置すると、以下のような深刻な合併症を引き起こす可能性があります:

1. 脳梗塞のリスク

心房の収縮が不十分になることで、血液が滞りやすくなり「血栓」が形成される可能性があります。この血栓が心臓内にとどまれば問題はありませんが、血流に乗って脳血管を塞ぐと脳梗塞を引き起こします。

特に心房細動の発症から48時間を超えると血栓形成のリスクが高まるため、適切な治療が必要です。脳梗塞のリスク評価には「CHA₂DS₂-VAScスコア」が用いられ、スコアが1以上の場合、抗凝固薬の内服が推奨されます。

2. 心不全のリスク

心房細動が続くと、心房や心室に過度の負担がかかり、最終的に心不全に至る可能性があります。心不全が進行すると呼吸困難や血圧低下、循環不全などが生じ、生命に危険が及ぶ場合もあります。


治療方法

心房細動の治療法は多岐にわたります。主に以下の方法が採用されます:

  1. 内服治療
    • 抗凝固薬: 血栓を防ぐためにワーファリンやDOAC(直接作用型経口抗凝固薬)を使用。
    • リズムコントロール薬: 心房細動を正常なリズムに戻すための薬剤(アミオダロン、フレカイニドなど)。
    • レートコントロール薬: 心拍数を適正に保つ薬剤(ベータ遮断薬やカルシウム拮抗薬)。
  2. カテーテルアブレーション 異常な電気刺激を発生させる部分を高周波で焼灼する治療法。
  3. 除細動 急性の心房細動に対し、電気ショックを用いて正常なリズムに戻す方法。
  4. 外科的手術 僧帽弁疾患の治療と同時に心房細動を改善するための手術が行われる場合もあります。

看護師としての役割

心房細動の治療中、看護師は次の点に注意を払う必要があります:

  • 心電図波形や患者の循環動態を観察し、治療が効果的かどうかを評価。
  • 抗凝固薬の内服管理を徹底し、服薬忘れがないように指導。
  • 合併症(脳梗塞や心不全)の早期兆候を見逃さない。

まとめ

心房細動は心房の収縮が1分間に400回以上になる不整脈であり、動悸や血圧低下といった症状を引き起こします。放置すれば脳梗塞や心不全といった深刻な合併症に至る危険性があります。適切な治療と管理が重要であり、看護師としては患者の状態を正確に評価し、治療が効果的に行われているかを確認することが求められます。