大腸がんに対する低位前方切除術について解説! 術後に気をつけるポイントや看護についてわかる!

直腸がんに対する低位前方切除術について

大腸のしくみ

人間の大腸は、回腸から送られてくる消化された食べ物を固形化し、水分や脂肪酸の一部、ナトリウムなどを吸収して、排泄物として肛門まで運ぶ役割を果たしています。大腸は大きく分けて結腸と直腸に分類されます。このうち直腸に悪性腫瘍、いわゆるがんが発生する場合を直腸がんと言います。

直腸がんとは

直腸がんは粘膜の表面から発生し、進行すると直腸の壁に深く侵入していきます。直腸には多くの血管があり、それに沿って多数のリンパ管が存在するため、がんが進行するとがん細胞が血管やリンパ管を介して全身に広がり、転移を引き起こす可能性があります。そのため、内視鏡治療が困難な場合には外科的治療が必要となります。この治療法のひとつが低位前方切除術です。

低位前方切除術とは

低位前方切除術は、肛門から5センチ以上離れた部位にがんがある場合に実施できる手術です。がんを切除した後、S状結腸と残存する直腸をつなぎ合わせることで人工肛門を作らず、自身の肛門を温存できる方法です。この手術方法について知ることで、術後の看護にも役立てることができます。

以下に、手術の流れを簡単に説明します。


低位前方切除術の流れ

1. 手術の準備

全身麻酔を導入した後、へその上から恥骨上まで切開を行い、お腹を開きます。この際、深く切り込みすぎないよう注意が必要です。皮膚、筋膜、腹膜の順で一層ずつ丁寧に切開していきます。

2. 切除範囲の決定

腹腔内を確認後、がんの部位とそれを栄養している血管の位置を確認し、切除範囲を決定します。一般的には、がんの位置から口側(上方)10cm、肛門側3cm程度離れた部位を切除します。

3. S状結腸と直腸の切除

まず、S状結腸間膜からS状結腸を剥離し、直腸がんを栄養する血管やリンパ節を切除します。その後、肛門側の直腸も直腸間膜から慎重に剥離し、がんから3cm程度離れた部位で切断します。この際、直腸壁を損傷しないよう細心の注意が必要です。

4. 再建手術

切除後、直腸内を洗浄し、がん細胞の再発を防ぎます。その後、自動縫合器を用いて切り離したS状結腸と直腸をつなぎ合わせます。場合によっては、一時的に小腸や横行結腸に人工肛門を作ることもありますが、通常3~6か月後には人工肛門を閉鎖し、再び本来の肛門から排便できるようになります。

5. 手術の終了

再建部位のトラブルを防ぐため、腹腔内にドレーンを留置して手術を終了します。


術後のケアと注意点

1. 術後出血と縫合不全

術後に出血や縫合不全が発生する可能性があります。少量の出血であれば経過観察となる場合もありますが、出血量が多い場合は輸血や止血処置が必要です。また、縫合不全が起こると腸内容物が漏れ出て腹膜炎を引き起こすことがあります。急な発熱、腹痛、腹部の硬直、反跳痛などが見られる場合、早急な対応が必要です。

2. 排尿障害や性機能障害

直腸周囲には排尿や性機能に関与する神経が多く存在しています。手術中に神経が損傷されると、排尿困難や尿失禁、性機能障害が発生する可能性があります。術後は膀胱留置カテーテルを使用する場合が多いですが、カテーテル抜去後に排尿回数、残尿量、尿失禁の有無を確認することが重要です。

3. 腸閉塞

術後、腸の動きが悪くなり便やガスが排出されない場合があります。腸麻痺や癒着が原因で腸閉塞が発生することがあり、強い腹部の張り、痛み、吐き気、嘔吐、腸蠕動音の低下などが見られた場合は注意が必要です。診断された場合、減圧を目的とした処置が行われます。


まとめ

直腸がんに対する低位前方切除術は、自身の肛門を温存できる手術方法です。がんを切除した後、自動縫合器で腸をつなぎ合わせますが、術後には出血や縫合不全、神経障害、腸閉塞といった合併症のリスクが伴います。これらを未然に防ぐため、看護師は術後の観察を徹底し、異常があれば迅速に対応することが求められます。