みんなは確認してる?敗血症で見るべき所見について
はじめに
皆さん、敗血症という言葉を聞いたことはありますか?
医療現場で働く方にとっては馴染み深い言葉かもしれませんが、一般の方には少し専門的に感じるかもしれません。
敗血症は、なんらかの感染症によって体内に異常が生じ、臓器障害を引き起こした状態を指します。
これは医療現場では非常に深刻な問題であり、迅速な対応が必要不可欠です。
本記事では、敗血症の基本的な理解から重要な観察ポイントまでを解説し、特に「皮膚所見」の観察がいかに重要であるかを具体的に説明していきます。
看護師や医療従事者だけでなく、一般の方にも知っていただきたい内容です。
敗血症とは?

敗血症とは、感染症による臓器障害が生じた状態を指します。
通常、体内に細菌が侵入すると免疫細胞が活性化し、細菌と戦います。
この免疫機能のおかげで、軽度の感染症は自然に回復する場合が多いです。
しかし、以下のような状況では敗血症に進展するリスクがあります。
・ 細菌の数が異常に増加した場合
・ 細菌の毒性が非常に強い場合
・ 体の免疫力が弱まっている場合
細菌が体内で増殖すると、その過程で毒素や炎症性サイトカインが過剰に分泌されます。
これにより、全身に悪影響が及び、臓器障害が進行していくのです。
敗血症が進行するメカニズム
敗血症が進行すると、全身の血流が障害され、ショック状態に陥ることがあります。
この状態を「敗血症性ショック」と呼びます。
以下はそのメカニズムです。
- 血管拡張と血液漏出
一酸化窒素や炎症性サイトカインが分泌されることで、血管が異常に拡張します。
さらに、血管を構成する細胞同士の隙間が広がり、血管内の水分が外に漏れ出します。この結果、血圧が低下し、循環不全が進行します。 - ショック状態の特徴
通常のショックでは、重要な臓器への血流を優先するため、手足の血管が収縮し、手足が冷たく湿った状態になります。
しかし、敗血症性ショックでは、血管が拡張するため、初期には手足が温かく感じられることがあります。
この段階を「ウォームショック」と呼びます。 - ウォームショックからコールドショックへ
ウォームショックが進行すると、血管内細胞がさらに障害され、通常のショック状態に近い「コールドショック」に移行します。
この段階では手足が冷たくなり、重篤な状態であることを示します。
観察ポイント:皮膚所見の重要性
敗血症の早期発見と治療には、皮膚の変化を観察することが極めて重要です。
なぜなら、皮膚は体内の循環状態を反映する「鏡」のような役割を果たすからです。
循環不全と皮膚の変化

敗血症による循環不全が進行すると、重要な臓器への血流を優先するため、皮膚や腸管、筋肉などの血流が抑制されます。
特に皮膚は目に見える部位であり、観察が容易です。
以下のような兆候が現れます。
・ モットリング
膝周囲などに紫色のマダラ模様が現れる現象です。
これは皮膚の血流が低下していることを示します。
モットリングの範囲が広がるほど、重度の循環不全を示唆します。
・ モットリングスコアの活用
モットリングの広がり具合をスコア化し、継続的に観察することで患者の状態を評価します。
特に6時間以上モットリングが持続している場合は、死亡リスクが高いとされています。
看護師としての観察力
看護師は、患者の皮膚状態を観察する機会が多くあります。
清拭や着替えの際に皮膚を注意深く観察することで、敗血症の早期兆候に気付くことが可能です。
以下は、観察時に意識すべきポイントです。
- 手足の温度
手足が異常に温かい場合は、ウォームショックの可能性を考慮します。 - 皮膚の色調変化
モットリングや皮膚の蒼白がないかを確認します。 - 持続的な観察
一度の観察で安心せず、時間を追って変化を記録します。
敗血症の治療と看護の重要性
敗血症は適切な治療が行われない場合、非常に重篤な状態に陥る可能性があります。
そのため、医師と看護師が連携し、早期の治療を開始することが重要です。
抗生物質の早期投与
原因菌に応じた抗生物質を迅速に投与することが治療の鍵です。
臓器障害の管理
循環管理や酸素投与、血圧の維持が求められます。
家族への説明
敗血症のリスクや状態について丁寧に説明し、家族と情報を共有することも重要です。
まとめ
今回の記事では、敗血症の基本からショック状態のメカニズム、皮膚所見の重要性について解説しました。
敗血症は迅速な対応が必要な疾患であり、その兆候を見逃さないことが患者の命を守る鍵となります。
看護師や医療従事者の皆さんは、患者さんの皮膚状態を観察する際に「モットリング」や「手足の温度」などの特徴を意識し、早期に異常を察知するよう心掛けましょう。
特に集中治療室で勤務する方々にとって、この知識は日々の実践に直結するものです。
皆さんの現場での観察力が、患者さんの命を守る大きな力となることを願っています。
敗血症に関する知識をさらに深め、今後のケアに役立てていただければ幸いです。