意外と知らないリザーバーマスクの正しい使い方について
人間が生きていくうえで酸素は欠かせない要素です。
空気中の酸素を吸い込み、その酸素が全身の細胞に行き渡ることで、私たちは健康で活力ある生活を送ることができます。
しかし、病気や特定の状態によって、通常の空気中に含まれる酸素濃度(Fio₂:約21%)だけでは体が必要とする酸素を十分に供給できない場合があります。
そうした際に行われるのが 酸素療法 です。
今回は酸素療法で使用される様々なデバイスの中から、「リザーバーマスク」に焦点を当て、その正しい使い方や注意点を詳しく解説します。
酸素療法とデバイスの選択

酸素療法は、患者さんの酸素需要に応じて適切な濃度の酸素を供給する医療行為です。
呼吸器疾患やショック状態など、酸素供給が必要になる理由は様々ですが、患者さんの状態に応じたデバイスを選ぶことが重要です。
酸素療法に使用される主なデバイスには次のようなものがあります。
・ 酸素カニューレ
鼻に軽く装着するシンプルな装置で、少量の酸素を供給する際に使用します。
・ 酸素マスク
酸素濃度をやや高めたい場合に使用され、カニューレよりも多くの酸素を供給できます。
・ リザーバーマスク
高濃度の酸素を供給する必要がある場合に使用します。
例えば、酸素カニューレを3リットル(L/min)で使用する場合、吸入酸素濃度(Fio₂)は約32%です。
一方で、リザーバーマスクは高濃度の酸素が必要な患者さんに対応できるため、酸素供給の幅が広いのが特徴です。
リザーバーマスクの特徴

リザーバーマスクは、通常の酸素マスクとは異なり、マスク本体に加えてリザーバーバッグ(酸素を溜める袋)が付いているのが特徴です。
このデバイスは、以下のような仕組みで機能しています。
- 呼吸の流れを制御する一方弁の働き
・ 吐くとき:患者さんが息を吐くと、マスク側面の一方弁が開き、吐いた息は外へ放出されます。
同時にリザーバーバッグへ息が逆流するのを防ぐため、接合部の弁が閉じられます。
この間にバッグ内に酸素が溜まり、膨らみます。
・ 吸うとき:患者さんが息を吸うと、側面の弁が閉じて外気の侵入を防ぎ、接合部の弁が開くことでリザーバーバッグ内の酸素がマスク内へ供給されます。 - 高濃度酸素の吸入
この仕組みによって、リザーバーバッグ内に溜めた酸素とチューブから供給される酸素を同時に吸入できるため、高濃度の酸素を供給することが可能になります。
リザーバーマスクの正しい使い方
リザーバーマスクを正しく使用するには、以下の点に注意する必要があります。
- 酸素流量を適切に設定する
リザーバーマスクを使用する場合、酸素流量は最低6リットル/分以上に設定します。
これは、十分な酸素を供給しリザーバーバッグを膨らませるために必要です。
流量が不足するとバッグが空になり、患者さんが吐いた息を再吸入してしまうリスクがあります。 - リザーバーバッグを潰さない
リザーバーバッグは酸素を貯める重要な役割を果たしますが、時折誤って押しつぶしてしまう人がいます。
これは絶対に避けるべきです。
バッグを潰すと、患者さんに十分な酸素が供給されなくなり、治療効果が低下します。 - マスクの密着性を確認する
リザーバーマスクが正しくフィットしていないと、隙間から外気が入り込んでしまい、想定された酸素濃度を達成できません。
マスクを装着する際には患者さんの顔に密着させ、吸気時にリザーバーバッグが適切にしぼむことを確認しましょう。 - 患者の呼吸パターンに注意する
リザーバーマスクは高濃度の酸素を供給できますが、患者さんの1回換気量(1回の呼吸で吸う空気の量)が多い場合、バッグ内の酸素が不足する可能性があります。そうした場合には、さらに酸素流量を調整する必要があります。
使用時の注意点

リザーバーバッグの膨らみを確認
リザーバーバッグが常に膨らんでいる状態を維持することが重要です。
バッグが空になると、患者さんが再び吐いた息を吸い込む可能性があり、適切な治療が行えなくなります。
酸素濃度のモニタリング
リザーバーマスクを使用している患者さんは高濃度酸素を必要としているケースが多いため、酸素飽和度(SpO₂)の継続的なモニタリングが必要です。
適切な酸素濃度が維持されているか確認し、必要に応じて設定を調整します。
患者の快適さへの配慮
リザーバーマスクは顔全体を覆うため、患者さんが不快感を感じる場合があります。
そのため、適切なフィッティングや装着時間の配慮を行い、患者さんの負担を軽減するよう努めましょう。
まとめ
リザーバーマスクは高濃度の酸素を必要とする患者さんに使用される重要なデバイスです。
しかし、正しい使用方法を守らなければ、十分な治療効果を得ることができません。
特に注意すべきポイントとしては、以下の点が挙げられます。
・ 酸素流量を6L/分以上に設定する
・ リザーバーバッグを潰さない
・ マスクを顔にしっかり密着させる
・ 患者さんの呼吸パターンに応じて調整する
これらのポイントを意識しながらリザーバーマスクを使用することで、患者さんに安全で効果的な酸素療法を提供することができます。
今回の内容が、医療現場で働く方や酸素療法に関心のある方々のお役に立てば幸いです。