人生最大の頭痛、くも膜下出血の治療と看護について
くも膜下出血という言葉は、多くの人が一度は耳にしたことがある疾患です。
特に、看護師国家試験でも頻出の疾患として知られ、臨床現場でも注目される病気の一つです。
本記事では、くも膜下出血の原因、症状、治療、そして看護のポイントについて詳しく説明します。
くも膜下出血とは?
くも膜下出血は、脳にある「くも膜下腔」という脳脊髄液が存在する部分の血管が破れることで発生する出血を指します。
この病気は英語で「Subarachnoid Hemorrhage」と呼ばれ、頭文字を取って「SH」と略されることが一般的です。
さらに、職場の一部ではドイツ語読みで「ザー」と呼ばれることもありますが、これは誤用であるため注意が必要です。
主な原因
くも膜下出血の主な原因は以下の3つです。
・脳動脈瘤の破裂
くも膜下出血の原因の約80%を占める主要な要因で、脳の血管にできたコブ(動脈瘤)が破裂して起こります。
・頭部外傷
交通事故や転倒などで頭を強く打つことで発生します。
・脳動静脈奇形
異常な血管構造による問題で発生する場合があります。
今回は、特に多くの症例を占める「脳動脈瘤破裂」に焦点を当てて解説します。
脳動脈瘤の特徴
動脈瘤は、血管の弱い部分にコブができる現象で、主に以下の場所に発生することが知られています。
前交通動脈(Acom):約30%
内頚動脈-後交通動脈分岐部(IC-PC):約25%
中大脳動脈分岐部(MCA):約15%
これらの部位は特に血圧が高い人で圧力が集中しやすく、動脈瘤ができやすいとされています。
動脈瘤が破裂すると、血管が破れ出血が発生し、くも膜下出血を引き起こします。
症状と診断
症状
くも膜下出血の特徴的な症状は以下の通りです。
・雷鳴頭痛
バットで殴られたような突然の激しい頭痛。
・意識障害
出血による脳の圧迫で、意識がもうろうとすることがあります。
・嘔吐
髄液への刺激により嘔吐が誘発されることがあります。
・血圧上昇や不整脈
出血による身体の反応として、バイタルサインの異常が認められることがあります。
なお、くも膜下出血では局所的な神経症状(失語症や麻痺)は少ないですが、脳内出血を合併している場合はこれらの症状が現れることがあります。
診断
くも膜下出血が疑われる場合、主に以下の検査が行われます。
・頭部CT検査
出血部位が白く映るため、診断の第一選択肢となります。
・MRI検査
CTで判別が難しい場合に使用されます。
・腰椎穿刺
髄液中の出血成分を確認することで確定診断を行います。
治療方法
くも膜下出血の治療は以下の3つに大別されます。
- 保存的治療
患者の全身状態が悪い場合や外傷性くも膜下出血などで、積極的な治療が適さないと判断された場合に行われます。
自然治癒が期待されるケースや重症度が高く治療が困難な場合に適用されます。 - 血管内治療(コイル塞栓術)
動脈瘤にコイルを詰めることで血流を遮断し、破裂を防ぎます。
鼠径部からカテーテルを挿入し、比較的侵襲が小さい治療法として広く採用されています。 - 外科的治療(開頭クリッピング術)
頭蓋骨を開けて動脈瘤をクリップで止める治療法です。
動脈瘤の根本的な治療を目的とし、くも膜下腔内の血液を取り除く処置も行います。
看護のポイント
くも膜下出血は重症度が高く、再出血のリスクが非常に高い疾患です。
再出血を防ぐための初期対応が予後を大きく左右します。
以下、看護師が特に注意すべきポイントを解説します。
- 安静の確保
患者を安静にさせ、刺激を最小限に抑えることが重要です。
部屋を暗くし、アイマスクや耳栓を用いるなどの環境調整を行いましょう。 - 血圧管理
ガイドラインでは収縮血圧を120~130mmHg未満に管理することが推奨されています。
血圧が高すぎると再出血のリスクが高まるため、薬物療法を活用しつつ細心の注意を払いましょう。 - 鎮痛・鎮静管理
患者の痛みを緩和することで、交感神経の興奮を抑え、血圧を安定させます。
医師の指示のもと、適切な薬剤を使用します。
まとめ
くも膜下出血は緊急度と重症度が非常に高い疾患です。
患者の1/3が命を落とし、1/3が後遺症を抱えると言われており、適切な初期対応と治療が予後を大きく左右します。
看護師として、患者に対する安静確保、血圧管理、鎮痛・鎮静の徹底が再出血予防のカギとなります。
本記事がくも膜下出血の理解と実践的な看護に役立つことを願っています。