ASD(自閉スペクトラム症)がある人はコミュニケーションが苦手

ASD(自閉症スペクトラム)の方は、コミュニケーションにおいて独特な特徴を持っています。そのことを本人や周囲の人が理解していないとうまくいかない状態が続き、お互いに負担がかかることがあります。時には心身の不調に繋がることもあります。今回の記事では、ASDの方の会話の特徴について解説し、恋人や友人、家族とのコミュニケーションや関わり方のポイントを紹介していきます。

一方的に話してしまう

ASDの方の中には、幼少期に言葉の発達に遅れがない、あるいは言葉が得意でよく話す方もいます。しかし、コミュニケーションがうまくいかない理由の一つに、相手の話を聞かずに自分の話ばかりしてしまうことがあります。これにより、会話が双方向にならず、情報のやり取りがうまくいかなくなることがあります。

思ったことを口に出す

「積極奇異群」に属するASDの方は、考えていることをそのまま口に出してしまう傾向があります。その結果、相手に言い方がきついと感じられることがあります。日本では、しばしば思ったことをそのまま言わずに、優しくほのめかす方法が一般的です。会話の中で、すべてを言わなくても伝わることや、行間から察することが求められることがあります。時には、すべてを正直に言わない方が、コミュニケーションが円滑に進むこともあります。

一方で、「受動群」に属するASDの方は、思っていることを言葉にするのが難しい傾向にあります。自分の意見や願望を伝えるのが苦手で、無理に言われても拒否することが難しい場合もあります。その結果、自分の思いや考えを伝えられず、我慢することになります。

非言語コミュニケーションが苦手

ASDの方々は、非言語コミュニケーションが苦手なことがあります。言葉以外の方法で情報を伝えるのが難しいのです。例えば、相手の視線の使い方や体の向き、人との距離といった微妙なサインが円滑なコミュニケーションにおいて重要です。特にASDの方は、時間や場所、状況に合った服装や身だしなみに無頓着なことがあり、人との適切な距離の取り方にも独自のスタイルを持っていることがよくあります。

言ってはいけないことを話してしまう

ASDの方は、思ったことをそのまま言ってしまうことがあります。例えば、相手が太っていることを指摘することもありますが、そうした言葉は相手を傷つけたり不快にさせたりすることがあります。なぜそのようなことを言ってしまうのか、いくつか理由が考えられます。

①間違ったことを言いたくない
ASDの方は正直者であり、嘘をつくことを嫌います。気づいたことをそのまま伝えたいと思う一方で、それが相手を不快にさせる可能性を考えにくいことがあります。

②他人の視点を理解しにくい
相手がどのように感じるのかを考えず、自分の思ったことをそのまま話してしまうことがあります。相手の気持ちや視点を理解しにくいため、適切な言葉選びが難しいことがあります。

③感情のコントロールが難しい
感情的になると、普段なら言わないようなことを口にしてしまうことがあります。感情のコントロールが難しいため、その状態で言葉を選ぶのが難しいことがあります。

これらの理由により、ASDの方が適切なコミュニケーションを取るのが難しい場合があります。

状況を考えて発言するようにする

自分の考えを正直に述べることは大切ですが、状況に応じて発言することも重要です。たとえ事実であっても、周囲の人々に嫌われる可能性があるため、思ったことをすぐに口に出すのは避けるべきです。無用なトラブルを避けるためにも、言葉選びに気をつけましょう。大切なのは、感情的にならずに冷静に状況を考えることです。何か言いたいことがある場合でも、その場で我慢し、自宅に戻ってから冷静に考えることをおすすめします。また、信頼できる友達に相談することも一つの方法です。自分が言おうとしていることが相手にどのような影響を与えるかを考える習慣をつけることが大切です。同じ内容でも、適切な言葉選びや表現方法を選ぶことで、相手により良く伝わることがあります。

異性との付き合い方

ASDの方々は、他人の感情を理解するのが難しいと言われています。自分が嫌な思いや傷ついたと感じた時は自分の気持ちを表現できるかもしれませんが、相手の感情や考えを理解するのは意外と難しいことがあります。恋人との関係では、相手の希望や予定を考慮して、会う頻度や場所を決めることが重要です。自分の気持ちだけでなく、相手の都合も尊重することで、健全な関係を築くことができます。たとえ自分が会いたいと思っていても、相手に予定がある場合は我慢することも重要です。お互いに配慮し合うことで関係が深まっていきます。人々はそれぞれ異なる価値観や感情を持っており、同じ状況でも感じ方や考え方が異なることがあります。相手が自分と違う反応を示す場合でも、「自分だったらそう感じない」という考えにとらわれず、相手の気持ちや立場を尊重することが大切です。お互いに理解し合い共感することで、より良いコミュニケーションと関係を築くことができます。

自分の意見や気持ちを表現することが難しい人も存在します。受け身な姿勢や他人の意見に従うことも重要ですが、自分の意見や気持ちを大切にすることも、自己肯定感や健全な関係を築くために必要です。自分の意見を表すことが難しい場合は、少しずつ練習することが役立ちます。まずは小さな話題から始めて自分の意見を述べる練習をすることで、自信がついていくでしょう。また、信頼できる友人や家族との会話を通じて練習することも良い方法です。自分を大切にし、自分の気持ちや要望を表現するスキルを磨くことで、自己成長を促進し、コミュニケーションをより円滑にすることができます。

細かいルールや求める水準が高い

ASDを持つ親がいる家庭では、日々の生活において細かいルールが多いかもしれません。日常のスケジュールが詳細に組まれており、子どもが勉強や習い事に追われて遊ぶ時間が少なくなることがあります。しかし、子どもの気持ちやペースを考えて、適度な休息や遊びの時間を確保することが大切です。子どもが親の期待通りに行動しないと、親がイライラすることもあります。例えば、漢字の宿題で字が汚いと何度も書き直させたり、料理中に子どもが話しかけると集中が途切れてしまい、「うるさい!」と怒ってしまうこともあるでしょう。その結果、家庭内が常に緊張した雰囲気になってしまうこともあります。

ASDの親は、常に自分のペースや方法で物事を進める傾向があります。子どもと一緒に外出しても、自分が行きたい場所にしか行かないことがあるかもしれません。子どもがテレビを観ていても、相手の気持ちを考えずにチャンネルを勝手に変えてしまうこともあります。また、子どものおもちゃが散らかっているのを見て、「片付けないなら捨ててしまうぞ」と脅すことがあり、子どもが泣き叫んでも実際に捨ててしまうこともあるようです。子どもは、こうした親の行動によって恐れや悲しみ、不当な扱いを感じるかもしれませんが、親はその子の気持ちに気付かないことがあります。

子どもが発達障害を持つ場合、まずは親の対応から

ASDを持つ親のもとに生まれた子どもも、同じ障害を持つことがあります。大切なのは、発達障害は子どもの個性の一部ですが、子育ての方法によって子どもの未来が大きく影響されるということです。

ASDの特性を持つ親は、次のように考えることがあります。

「自分は問題なく生きているから、子どもにも特別な支援は必要ないだろう」

しかし、あなたの子どもの状況や環境は異なるかもしれません。あなたが子どもの頃に受けた支援が、同じ効果を持つとは限りません。

「自分は親から十分なサポートを受けなかったので、子どもには特に気を使いたい」

ちょっとした変化や配慮が、子どもの日常生活や学校生活を大きく改善させることがあります。適切な支援や理解が、子どもの成長を支える要素となるでしょう。

見通しを立て、具体的に、視覚的に

子どもは、時としてルールや指示を思っている以上に理解していないことがあります。具体的な手順やスケジュールを書いて可視化し、少しずつ取り組むと理解しやすくなります。進めることや学習量を減らして、成し遂げたことを認めて褒めることも大切です。

怒鳴ったり体罰をしたりしても、子どもには伝わりにくいことがあります。子どもは恐れて従うかもしれませんが、その方法は長続きしません。それどころか、反抗的な態度を強めたり、他の人に同じことをすることもあるかもしれません。あるいは、抑うつ的な感情に囚われたり、問題行動が増えることもあります。穏やかに、子どもが理解できる言葉で指示を繰り返すことが大切です。

また、親が求める水準が高すぎると、子どもにとって負担になることがあります。適切なレベルで子どもの成長をサポートし、達成感を持てるように心がけましょう。

以上が、ASDを持つ方の会話の特徴、異性や友人、家族との関わり方のポイントについての解説でした。