軽度知的障害は遺伝するのか?知的障害の特徴を踏まえて解説【まとめ編】

「軽度」知的障害の人の特徴

軽度の知的障害は、発達期(18歳頃まで)に知的機能の障害が生じ、その結果、知能指数(IQ)が実年齢に比べて低い水準にとどまる状態を指します。幼児期には気づかれにくいことが多いですが、学齢期以降に不登校やひきこもり、うつ病や不安障害などに悩んで相談機関や医療機関を訪れた際に、軽度知的障害が診断されるケースがあります。また、自閉症スペクトラム(ASD)を併発している場合もあり、ASDの症状が目立つことがあります。軽度知的障害がある人は、言葉や抽象的な内容の理解が遅れることがあるものの、身の回りのことはほとんど一人で行えます。学業面では遅れが見られますが、経験を積みながら問題解決能力を身につけることが可能です。

他者に依存的になる傾向

自尊心が低く、他者に依存的な傾向が見られるのも軽度知的障害の特徴です。特に成長の過程で周囲の同年代と自分を比較し、自分が劣っていると感じることがその傾向を強めることがあります。依存的な傾向が強いと、他者に騙されたり、犯罪に巻き込まれたりするリスクも増します。知的障害があると、物事を十分に理解するのが難しく、無意識のうちに犯罪に加担して逮捕されるといった事態も起こり得ます。定期的な福祉サービスやカウンセリング、周囲からのサポートを受けることで、安定した日常生活を送ることが可能です。

「軽度かどうか?」知的障害の診断について

知的障害の診断は、知的機能検査だけでなく、「適応機能」と「知的機能」の両方を評価して行います。適応能力とは、食事や着替え、排泄などの日常生活スキルや、社会的な対人関係、読み書き、コミュニケーション能力など、社会生活における全般的な能力を指します。この能力の測定により、自分の強みと弱みを把握します。知能指数(IQ)は、知能を数値化したもので、軽度知的障害がある人のIQは概ね50~70程度ですが、IQが中等度でも適応能力が高ければ軽度に分類される場合があり、逆にIQが軽度でも適応能力が低ければ中等度に分類されることがあります。

軽度知的障害の特徴には「個人差」がある

1. 食事や衣服の着脱、排泄などの日常生活スキルに問題はない
2. 言語の発達が遅れ、大人でも小学生レベルの学力に留まることが多い
3. 漢字の習得が難しい場合がある
4. 記憶や計画、感情のコントロールが苦手
5. 集団参加や友達との交流はできるがコミュニケーションがパターン化され年齢に対して未熟な面がある
6. 知能指数(IQ)は50~70程度

これらの特徴は軽度知的障害のある人に見られることが多いですが、個人差があるため、すべての特徴が当てはまるわけではありません。知的障害の一部は遺伝子的な原因によって生じることがありますが、「親から子へ単純に遺伝する」ということではありません。遺伝子の変異は誰にでも起こり得るものであるという認識が大切です。

知的障害の発症率や男女比について

知的障害の有病率は一般人口の約1%で、年齢によって変動します。男女比は軽度では1.6:1、重度では1.2:1程度です。知能指数(IQ)は知能検査で測定され、平均が100、標準偏差15の検査でIQ70未満を知的機能の低下と判断します。しかし、IQの値だけで知的障害と判断せず、適応機能も総合的に評価することが重要です。重度知的障害で運動障害を伴う場合は「重症心身障害」と呼ばれることもあります。

知的障害と遺伝の関係について

知的障害の一部は遺伝的な要因によって生じることがありますが、それが親から子へ単純に遺伝するわけではありません。親が知的障害の原因となる素因を持っていても、それが必ず子どもに遺伝するわけではありませんし、遺伝しても必ず発症するとは限りません。正常な遺伝子や染色体が突然変異を起こすことで発症することもあり、遺伝子の変異は誰にでも起こり得るものであることを理解しておく必要があります。

知的障害の程度別の特徴

知的障害は軽度中度重度最重度の4段階に分類され、それぞれに異なる症状や特徴があります。また、個人によっても症状は異なります。

中度知的障害の特徴

・概ねIQは35~50程度
・言語や運動の発達が遅れる
・辺自立は部分的に可能ですが、すべてを行うことは難しい

重度知的障害の特徴

・概ねIQは20~35程度
・言語や運動の発達が遅れ、学習面ではひらがなの読み書き程度にとどまる
・情緒の発達が未熟で、身辺自立が難しく、衣食住には支援が必要

最重度知的障害の特徴

・概ねIQは20以下
・言葉がほとんど発達せず、叫び声を出す程度にとどまる
・認識できるものは目の前の物に限られ、親を認識することも難しいことがある
・身の回りのことには常に支援が必要で、自ら日常生活を行うことは難しい

障害を持つ子どもの親へ

こだわりの強さや衝動的な行動、パニック、コミュニケーションの困難さは、親が言って聞かせてもすぐには改善しないことが多いです。子どもの気持ちに寄り添っているのに、周囲から「しつけ不足」と責められたり、目が離せない子どもの世話で疲れ果てたりして、悩むことも少なくありません。特性に応じた配慮が必要なため、「私の対応は正しいのだろうか」と育児に自信を持てず、悩みが深まることもあります。気持ちにも体力にも余裕がない中で、「怒鳴ってしまった」「イライラをぶつけてしまう」「自分の言葉が子どもに響かない」「子どもの気持ちがわからない」「報われない」と感じてしまう親もいます。自分を追い詰めず、子どものできることに目を向け、誰かに気持ちを打ち明けてほしいと思います。頑張りすぎず、できることに目を向けてください。

知的障害は親から子へ遺伝するのか?

知的障害の原因はさまざまで、遺伝を原因としない場合もありますが、まれに脆弱X症候群(FXS)や単一遺伝疾患(メンデル型遺伝疾患)など、親から子へ遺伝子が伝わることで知的障害が発症する場合があります。ただし、親が知的障害の原因となる素因を持っていても、それが必ず子どもに遺伝するわけではありませんし、遺伝しても必ず発症するわけではありません。親に知的障害があっても、必ずしも子どもに知的障害があるわけではないのです。正常な遺伝子や染色体が突然変異を起こすことで発症することもあり、遺伝子の変異は誰にでも起こり得るものです。