ASDのコミュニケーション障害について

ASD(自閉スペクトラム症)によるコミュニケーションの困難さについてお話しします。特に仕事における指示の理解に関する課題に焦点を当て、その解決策を提案します。同じ悩みを抱える方の参考になれば幸いです。

ASDのコミュニケーションの特徴と困難さ

ASDの方がよく経験する困難の一つに、職場での指示理解の問題があります。以下のような状況に心当たりはありませんか?

  • 先輩や上司からの指示がうまく理解できない。
  • マニュアルがあれば作業できるのに、口頭での指示だと対応が難しい。
  • 指示通りに作業を進めたつもりが注意を受けてしまう。

これらの問題は、職場でのストレスを増大させ、仕事への自信を喪失する原因となります。私自身、口頭での指示に苦手意識を抱き、説明が途中から頭に入らなくなる経験を何度もしました。説明を繰り返し聞き直して上司の不満を買い、肩身の狭い思いをしたこともあります。

ですが、これらの課題に取り組む方法はあります。一緒に解決への道を探していきましょう。

解決策:視覚化の活用

ASDの方が指示をより正確に理解し、仕事をスムーズに進めるためには「視覚化」が効果的です。視覚化とは、目に見えない情報を見える形にすることです。この概念を実践するには、口頭での指示をメモに残すというシンプルな方法があります。

視覚化の必要性とその理由

視覚化が必要な理由として、以下の3点が挙げられます。

  1. 話し言葉への理解が難しい ASDの方は、音声としての指示を処理しづらいことがあります。一般的に、人は音声で受け取った情報を一時的に記憶しながら行動に移しますが、ASDの方の場合、この一連の処理がスムーズに進まないことがあります。そのため、口頭での指示を正確に理解するためには、メモを取り視覚化することで、情報を目で確認しながら処理する方法が有効です。

例えば、英語の授業のリスニング問題は苦手でも、プリントに書かれた内容なら理解できるという経験はありませんか?同じ原理で、指示を紙やデジタルメモに記録することで、視覚的に情報を捉えられるようになります。

  1. 曖昧な表現の解釈が難しい ASDの方は「適当に」「ざっと」「いい感じで」などの曖昧な表現をそのまま受け取る傾向があり、具体的な内容を把握するのが難しい場合があります。例えば、「会議の資料をざっとまとめて提出して」と言われると、どの程度の完成度が必要なのか分かりにくいものです。

指示をメモに残し、不明瞭な表現を具体的に確認することで、曖昧さによるミスを防ぐことができます。このプロセスを取り入れることで、上司や同僚との認識のズレを減らし、効率的に作業を進められるようになります。

  1. 同一性保持の特性を生かせる ASDの特性として「同一性保持」があります。同じことを繰り返すことに安心感を覚え、継続的に同じ行動を取るのが得意です。この特性を活かし、指示を受けたら必ずメモを取り、不明点を確認する一連の流れをルーティン化しましょう。同じプロセスを繰り返すことで、安定感を持ちながら課題に取り組めるようになります。

実践のポイント

  • 指示を受けたらすぐにメモを取る:自分の目で情報を確認できる状態にすることで、話し言葉への理解を補完します。
  • 曖昧な部分は質問して確認:どんな些細な疑問でもその場で解消することで、ミスや誤解を防ぎます。
  • ルーティン化する:視覚化と確認を繰り返し行うことで、自然と対処スキルが向上します。

まとめ

ASDの方にとって、視覚化は仕事におけるコミュニケーション障害を克服する強力なツールです。「話し言葉」「曖昧な表現」の難しさに対応し、自分の特性を活かした働き方を実現するために、次のことを実践してみましょう。

  1. 指示を受けたら必ずメモを取り、視覚化する。
  2. 曖昧な表現があればその場で確認する。
  3. これらのプロセスを日常のルーティンに組み込む。

視覚化の習慣を取り入れることで、指示が明確になり、仕事に対する不安や疲労を軽減できます。自分の働きやすい環境を自ら作り出し、職場での評価向上につなげましょう。

また、ASDの方と一緒に働く方にも、特性への理解を深め、環境を整える取り組みをお願いしたいです。特に曖昧な表現を避ける工夫は、明日から実践可能です。ぜひ参考にしてください。