うつ病との違いは? 非定形うつ(新型うつ)の症状と原因

寝ても寝ても眠い(過眠)、いくら食べても食欲が治まらない(過食)、体が鉛のように重い、他者の言動に敏感になって気分が落ち込む…。このような困りごとはないでしょうか。

これらの症状が長く続き、日常生活に支障が出てくるようであれば、それはただの疲労や怠惰、甘えによるものだけではなく、非定形うつ新型うつと呼ばれる病気かもしれません。

今回は、20代・30代の若い女性に多いとされる非定形うつ・新型うつの症状従来のうつ病との違い、非定形うつ・新型うつになりやすい原因についてまとめました。

非定形うつ・新型うつとは?

非定形うつとは、抑うつ状態が続きながらも、従来の定形うつ病とは異なる症状がみられる病気(気分障害)です。

従来のうつ病(大うつ病)と異なる症状があり、比較的新しく定義されたことから、メディアなどでは、新型うつまたは現代型うつとも呼ばれ、広く知られるようにもなりました。

非定形うつは、現在研究段階の部分が多くありますが、その中でも、20代や30代の若い女性に多く見られる病気であることがわかってきています。

日常生活を送る中で悩まされている寝ても寝ても眠い、体が鉛のように重く動かしにくい、不安や緊張が強いといった症状は、実は病気かもしれません。

まずは、非定形うつの定義診断基準について見ていきましょう。

DSMにおける非定形うつの定義と症状

非定形うつは、1994年にアメリカ精神医学会の精神障害の分類と統計マニュアルであるDSMで定義された比較的新しい病気(精神障害)です。

最新版のDSMであるDSM-5(2013)によると、非定型うつは以下のように定義されています。

  1. 気分の反応性(楽しい出来事があると気分が一時的に改善する)があること
  2. 以下のうち、2つ以上が認められること
    • 著しい体重増加または食欲増進(過食)
    • 過眠(過剰な睡眠や日中の過度な眠気)
    • 鉛様の麻痺(手足が鉛のように重く感じ、動かしにくいまたは動かせない)
    • 対人関係での拒否過敏性(他者からの批判や拒絶に対して過度に敏感になるなど)
  3. メランコリアの特徴(従来のうつ病の症状)や緊張病(幻覚・妄想など)の特徴を伴わないこと

そして、これらの定義のうち、気分の反応性が必ずみられ、気分の反応性を含む3つ以上の症状が確認されたとき、一般に非定形うつであると診断されます。

非定形うつ(新型うつ)の特徴として、楽しいことや好きなことに対しては一時的にうつ症状が改善する気分の反応性が挙げられます。

しかしこの特徴から、周囲だけでなく本人でさえ、元来の性格や怠惰、甘えによるものなのではないかと考えてしまうことが少なくありません。

それでは、DSM-5に定義された非定形うつの症状と、現在明らかになっている傾向などをふまえて、従来のうつ病との違いを比較していきます。

非定形うつ(新型うつ)と従来のうつ病との違い

従来のうつ病は、何をしても楽しくない、元気が出ないなどの無気力状態にあり、気分の落ち込みがひどい場合には自殺を図る方もいるほどの病気です。

しかし、非定形うつ(新型うつ)では、上記に挙げた症状は一時的なものでしかありません。

従来のうつ病と非定形うつ(新型うつ)の違いとして多くあげられるものを、大まかにまとめてみました。

非定形うつ(新型うつ)従来のうつ病
気分の反応性がある
(楽しい出来事があると気分が一時的に改善する)
何をしても楽しくない
元気が出ないなど、無気力な状態
いくら寝ても眠い、起きられないなど
過眠傾向
寝付けない、頻繁に目が覚めるなど
不眠傾向
食欲が治まらない過食傾向と
過食に伴う体重増加
摂食中枢の鈍化による食欲の低下
食欲不振に伴う体重減少
夕方や夜に調子が悪いことが多い朝に調子が悪いことが多い
20代・30代の若い女性に多い40代・50代に多い
研究段階で不明なことが多く
投薬治療の効果が期待しにくい
脳などに原因があることがわかっており
投薬治療の効果が期待できる

従来のうつ病は、何をしても楽しくない、元気が出ないなどの気分の落ち込みが常であるという特徴があることに対し、非定形うつ(新型うつ)は、その状態に波があり、好きなことや楽しい出来事を前にするとうつ状態が一時的に改善します。

周囲からはその一時的に改善した瞬間を見て、怠惰や甘えだと判断されてしまうことも少なくありませんが、気分の落ち込みがある時は、従来のうつ病の規準を満たすほどに深い落ち込みが見られます。

非定形うつ(新型うつ)になりやすい原因・傾向

従来のうつ病は、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れることで発症する可能性があるとされており、比較的抗うつ剤などの投薬治療の効果が期待できました

一方で非定型うつ(新型うつ)は、明確な原因が解明されておらず、抗うつ剤などの投薬治療も効きにくいとされています。

原因がはっきりとわかっていない中でも、非定型うつ(新型うつ)になりやすい方には、ある程度の傾向があることがわかってきました。

ここからは、非定形うつ(新型うつ)になりやすい方の傾向を見ていきます。

特徴① 20代・30代の若い女性である

2014年のある研究報告では、非定型うつ(新型うつ)の発病平均年齢は24.2歳で、その他のうつ病の発病平均年齢は30.1歳とされ、従来のうつ病よりも比較的若い世代で発病することがわかりました。

また、発病率には性差があり、男性よりも女性の方が約3倍も多く診断されているとの調査もあります。

若い世代での発病率の高さには、経済的な不安やSNSの普及による他者比較の場の増加、メンタルヘルスへの意識が高まりなど、様々な社会的な背景も関係あるのではないかと考えられています。

特徴② 幼少期に「素直で従順な良い子」だった

従来のうつ病と非定形うつ(新型うつ)は共に、受けるストレスの大きさやその蓄積により発病する側面があります。

特に若い世代での発病率の高い非定形うつ(新型うつ)では、幼少期から親など他者からの期待に応えてきた、いわゆる「良い子」であった場合が多く、自身の願望や欲求を抑制したことによるストレスに起因していると考えられています。

その他にも、何らかの心的外傷(トラウマ)を抱えている場合も多く、いずれも自己主張がしにくい環境下にあったことによるストレスの蓄積から発病していることが推測できます。

特徴③ 家族にうつ病の既往歴がある方がいる

研究段階ではありますが、従来のうつ病も含めて、うつ病は遺伝とも関係があるとされています

非定型うつ病になる方も、家族にうつ病を罹患したことがある人がいることが多いことがわかっており、ある調査では、非定型うつ患者の7割にうつ病の既往歴を持つ親がいたとの結果がありました。

あくまで研究段階であり、ほかの特徴として挙げた生育環境や性格などによる発現の可能性もあり得ますが、現時点では、遺伝的要因も傾向の一つといわれています。

まとめ

ここまで、非定形うつ(新型うつ)の症状と原因従来のうつ病との違いについてみてきました。

非定形うつ(新型うつ)は、1994年に定義された比較的新しい病気(精神障害)であり、20代・30代の若い女性に多く発病しています。

楽しいことや好きなものは楽しめるものの、寝ても寝ても眠い、いくら食べても食欲が治まらない、ひどい気分の落ち込みがあるなどの気になる兆候があれば、それは非定形うつ(新型うつ)の症状かもしれません。

気分の反応性があり、楽しいことや好きなものは楽しめるという特徴から、なかなか理解されにくい病気ですが、気分の落ち込みがひどく、その症状が2週間以上続くなどの状態であれば、十分に非定形うつ(新型うつ)の可能性があります

必要に応じて専門家のカウンセリングを受けるなど、自分自身とその症状を正しく理解して、適切な処置をしていけるようになりましょう。