自閉症の原因と認識の変化について

今回は、自閉症スペクトラム(ASD)の誤解されてきた原因説から、現代における理解への道のり、そして支援の認識の変化や、自閉症スペクトラムの子どもから大人に共通する特徴についてお話しします。

自閉症の歴史「誤った原因説から現代の理解への道」

カナーが自閉症を報告した後、当時の社会では誤った理解が広まりました。その誤解は「親の養育方法が原因である後天的な情緒障害」とされ、1950年代から1960年代にかけて、自閉症スペクトラムの子どもやその両親に対して精神分析を含む心理療法が広く行われました。精神分析はオーストリアの精神医学者、ジークムント・フロイトによって確立された理論と治療法で、対話や教示、訓練などを通じて心理的問題を解決することを目指します。

1960年代には、ベッテルハイムを中心としたアプローチが普及し、自閉症の子どもとその両親を引き離し、親に厳しい態度をとることが推奨されました。しかし、このような治療は効果がなく、患者にとって苦痛をもたらすものでした。現在では、自閉症スペクトラムの原因は「脳の中枢神経系の障害」であることが研究によって証明され、精神分析は効果的な治療法ではないことが明らかになっています。この理解の進展により、自閉症スペクトラムに対する支援や治療は、異なるアプローチへと変わってきました。

ASDの支援 / 認識の変遷と専門性の必要性

自閉症スペクトラムに対する専門的な支援が行われない場合、どのような影響が生じるのでしょうか。現在、自閉症スペクトラムを持つ多くの人々が、二次障害として行動上の問題を抱えており、これらは「強度行動障害」として知られています。この問題が浮上した後も、支援の考え方は大きく変わりませんでした。

しかし、近年では高機能自閉症やアスペルガー症候群が注目されるようになり、2002年には「自閉症・発達障害支援センター」が設置されました。そして、2004年には「発達障害者支援法」が施行され、自閉症スペクトラム障害に対する専門的な支援の必要性が認識されるようになりました。

ASDの遺伝的要因と家族内での発生率

自閉症スペクトラムは、複雑な遺伝的要因に関連する神経発達障害です。単一の遺伝子の変異だけで説明できないため、複数の遺伝子の相互作用と環境要因が影響を与えていると考えられています。家族内で自閉症スペクトラムの児童がいる場合、兄弟姉妹の中で同様の特徴を持つ子どもが生まれる確率が一般よりも高いことが示唆されています。

具体的には、次の子どもが自閉症スペクトラムの特徴を持つ確率は約3~8%とされており、一卵性双生児の場合、兄弟姉妹の両方が同じ特徴を持つ確率が非常に高く、36~91%と幅広い範囲で報告されています。これらの情報は、自閉症スペクトラムの遺伝的背景の複雑さを示しています。

ASDの人に共通する3つの特性

ASDの特性を理解するためには、3つの主要な要素が重要です。

社会的相互作用の障害
 他人との対話や関係を築くことが難しいことを指します。

コミュニケーションの質的な障害
 言葉や非言語的なコミュニケーションに困難を感じることを示します。

創造的活動の障害
 創造的な遊びや想像力の発展が制限されることを意味します。

これらの特性に加え、反復的な行動パターンもよく見られます。ローナ・ウィングとジュディス・グールドの研究によれば、これらの特性は連続的なスペクトラムとして捉えられるべきものであり、自閉症スペクトラム障害という名前の由来となりました。

自閉症スペクトラム障害における「対人的相互作用の質的な障害」

自閉症スペクトラム障害の主要な特性の一つである対人的相互作用の質的な障害は、目線を合わせることが難しかったり、ボディーランゲージが伝わりにくかったりする特徴があります。この障害の診断には、以下の条件のうち2つ以上が当てはまる必要があります。

1. 目と目を合わせたり、表情や体の動きを使った多様な非言語的行動が困難であること。
2. 発達段階に応じた友人関係を築くことができないこと。
3. 楽しさや興味、達成感を他人と分かち合おうとしないこと。
4. 対人関係や感情的な交流が乏しいこと。

これらの特徴は幼少期から見られ、例えば母親に対する興味が薄かったり、社交的な場で孤立していることが多いです。

自閉症スペクトラムにおける「コミュニケーションの質的な障害」

自閉症スペクトラムの主要な特性の一つであるコミュニケーションの質的な障害は、非常に専門的な言葉を知っている場合でも、幼少期には言葉の発達の遅れが見られることがあります。この障害の診断基準には、以下のうち1つ以上が該当することが挙げられます。

1. 言葉の遅れや完全な欠如
2. 会話を始めたり続けたりする能力に顕著な障害があること
3. 常同的で反復的な言葉の使用や独特な言語を使うこと
4. 年齢に応じたごっこ遊びや物まね遊びが欠如していること

これらの特徴は、知的障害や言葉の遅れとは異なり、ジェスチャーや表情を使って意思を伝える努力が欠けている点が特徴です。

自閉症スペクトラム児の言語特徴「エコラリアとその特徴」

自閉症スペクトラムの子どもたちの中には、エコラリア(反響言語)と呼ばれる言語特徴を示す場合があります。エコラリアには次のような特徴があります。

1. 同じことを繰り返す
2. 相手の言葉をそのままコピーする
3. 同じ返答を何度も求める

エコラリアには即時型遅延型があり、即時型はその場ですぐに言葉を繰り返し、遅延型は時間が経った後に以前聞いた言葉を繰り返します。これらの特徴は、自閉症スペクトラム児のコミュニケーションにおける質的な障害の一部を示しています。

自閉症スペクトラム障害における「限定された反復する様式の行動、興味、活動」

自閉症スペクトラム障害の主な特徴の一つに「限定された反復する様式の行動、興味、活動」があります。診断基準には次のうち2つ以上が当てはまることが必要です。

1. 常同的で反復的な運動動作や物体の使用、あるいは話し方
2. 同一性へのこだわりや日常動作への固執
3. 集中度・焦点が強く、限定的で固定された興味がある
4. 感覚入力に対する過敏性や鈍感性、または感覚に対する異常な関心

自閉症スペクトラム障害の人々は、物の配置や手順、道順を常に同じように保つことを好み、変化に対して不安を感じることがあります。また、手や指をパタパタさせる、くるくる回る、上体を揺らし続けるといった常同行動が見られることもあります。

これらの特性は、自閉症スペクトラムの理解と支援において重要なポイントです。適切な支援や介入を行うことで、彼らの生活の質を向上させることができます。