突然ですが、皆さんもこんな経験はありませんか?
会社の会議で意見を求められてもうまく言葉にできない、またはレポートや読書感想文を書くのが苦手で、いつも悩んでしまうこと。
このように、自分の意見や考えをうまく伝えられない状況が続くと、人間関係や物事の進行がスムーズにいかない場面が増えることがありますよね。
その結果、どうすればよいかわからず、辛い気持ちを抱えてしまうこともあるかもしれません。
自分の考えを伝えるのが苦手な方にとって大事なことは、
- 苦手な理由を整理すること
- 効果的な工夫を知ること
実際に「自分の意見を伝えるのが苦手」という課題は、ASD(自閉スペクトラム症)の方によく見られる「中枢性統合」という情報処理機能の働きに関連している場合があります。
この中枢性統合を理解することが、自分自身を知る上で重要なポイントなのです。
そして、それを理解した後で、自分に合った工夫を考える必要があります。
そこで今回は、発達障害の方が意見を言うのが苦手な3つの理由を、中枢性統合の話も交えて解説していきます。
1.中枢性統合の弱さ

ロンドン大学の認知神経科学研究所名誉教授であるウタ・フリス氏は、ASDの認知特性を「中枢性統合の弱さ」として説明しています。
中枢性統合とは、個別の情報をまとめて意味づけする能力のことです。
例えば、何匹かの猫を見て「猫とはこういうものだ」と概念化することを指します。
ASDの方はこの統合が苦手なため、猫の種類を覚えることは得意でも、「猫」という全体的な概念を作るのが難しいとされています。
このため、事実をそのまま伝えるのは得意でも、情報を結びつけて自分なりに意味づけし、感情や抽象的な考えを表現するのは苦手な場合があるのです。
皆さんも、国語の問題で主人公の気持ちを推測するのに苦労した経験はありませんか?
これが意見を言うことにどう影響するかというと、映画の感想を聞かれてもうまく言葉にできなかったり、職場で意見を求められても困ってしまうことにつながるのです。
2.興味の偏り

ASDの方は特定のものに強く関心を持つ傾向があり、逆に興味のないことには関心を示しにくい特徴があります。
このため、人生の中での体験が偏りがちで、意見を述べる際の材料が少なくなることがあります。
例えば、旅行に全く興味がなかった人は、どこに行けば楽しいか判断する材料がなく、意見を出すのが難しくなるでしょう。
仕事でも、興味のない分野に関しては意見が浮かばないことがあるかもしれません。
このように、興味の範囲が狭いことで意見を言うのが難しくなりやすいのです。
3.過去の経験

発達障害の方は、幼少期から多くの叱責や失敗を経験し、自信を失うことが少なくありません。
努力しても報われない経験が続いたり、相談しても理解されないことで、「どうせ言っても伝わらない」と考えてしまうことがあります。
この結果、自分の意見を言うことに苦手意識を抱いたり、意見を述べること自体を避けるようになってしまうことがあるのです。
私の友人も、かつて周囲に理解されず不信感を募らせ、自分を見つめることができなかったと話していました。
自己肯定感が低いと、自分の意見を伝えるのが難しくなります。
しかし、環境によっても自己肯定感は影響されるため、適切な環境にいるかどうかが重要です。
もし自分を責めている方がいるなら、それはあなたのせいではなく、たまたま環境との相性が悪かっただけかもしれません。
まとめと工夫
自分の意見を伝えるためには、まずは経験を積むことが大切です。
友人や家族と会話したり、新しい場所へ行ってみたりして、体験の幅を広げていくことで、意見を形成する材料が増えていきます。
無理をしない範囲で、少しずつ自分の中に経験を蓄積することが大切です。
そして、「なんとなく」という感覚も1つの正解です。
言語化できなくても、それを大切にすることも重要です。
必要に応じて後から気づくこともありますので、焦らず自分のペースで工夫していきましょう。