ASDの対人関係5つのタイプ

ASD(自閉スペクトラム症)とは

発達障害の一種であるASD(自閉スペクトラム症)は、対人関係やコミュニケーションにおける独特な特徴や、特定の興味やこだわりを持つことが多い障害です。そのため、日常生活や社会生活において様々な困難を抱えることがありますが、特性の表れ方は人によって異なり、多様な個性として捉えることが重要です。

代表的な特性

ASDの方に見られる代表的な特性として、以下の二つが挙げられます。

  1. 対人関係における相互的反応の難しさ ASDの方は、相手の表情や言葉のニュアンスから気持ちを察することが苦手なことが多く、また、その場の雰囲気を読むのも難しい場合があります。これにより、他者とのコミュニケーションがうまくいかず、誤解や摩擦が生じることもあります。
  2. 同一性へのこだわり 特定の対象に対して強い興味を示したり、反復的で機械的な動作を繰り返したりします。また、こだわりが強いために状況に応じた柔軟な対応が難しく、生活リズムやルールの変化に対する不安やストレスが生じやすい傾向があります。

これらの特性は多くのASDの方に見られますが、その現れ方は一人ひとり異なります。また、ASDの特性の一つである対人関係について、ASDの方は以下の5つのタイプに分かれると言われています。それぞれの特徴を解説します。


ASDにおける対人関係の5つのタイプ

1. 孤立型

「孤立型」は、他者や社会とのかかわりを避け、一人でいることを好むタイプです。過去の人間関係でのトラブルや失敗から「一人でいる方が安心できる」と感じ、他者との交流を最小限に抑えることで、安心感を保つ傾向があります。このタイプは周囲への関心が薄い場合もありますが、自分の世界を持っている方も少なくありません。また、人との交流が少ないため、情緒的なやり取りが苦手なこともありますが、論理的思考を得意とすることが多いです。

2. 受動型

「受動型」は、対人関係を受け身で築くタイプです。他者からの交流を受け入れはしますが、自分から積極的に関わることは少ない傾向があります。受動型の方は「どのように人と関わればいいか分からない」という不安から受動的になりやすく、そのため他人からの誘いを断りにくく、ストレスを抱えることが少なくありません。特に職場などで「素直で大人しい」と受け取られることもあり、業務を頼まれやすく、結果として精神的負担が大きくなることもあります。

3. 積極奇異型

「積極奇異型」は、対人関係において積極的に他人と関わろうとするタイプです。特徴的なのは心理的・物理的な距離が近いことで、初対面の相手にも深い話をしたり、相手の反応を確認せずに自分の話を進めることがあります。また、話している時の距離が極端に近いこともあり、相手を驚かせる場合もあります。このタイプの方は、学生時代には活発な存在として目立つことが多く、周囲とトラブルになるケースもあるため、対人関係の学びが必要になることがあります。

4. 尊大型

「尊大型」は、自分の主張を強く押し出し、高圧的な態度を取ることで周囲を圧倒しようとするタイプです。自分の価値観を絶対視するため、それに合わないものを非難する傾向があり、時に頑固な一面を見せます。このタイプが形成される背景には、「主張を押し通して成功した経験」が学習として定着することが関係していると言われています。尊大型の方は学力が高い傾向にあるとされ、職場などで地位を築いた後にこうした一面を見せる方もいます。

5. 大仰型

「大仰型」は、過度に礼儀正しい態度を取るタイプです。礼儀正しいこと自体は好印象を与えますが、過度に丁寧で堅苦しい印象を持たれることもあります。このタイプの方は、家族に対しても敬語を用いることがあり、対人関係の距離感を一定に保つためにかしこまった態度をとります。過去の失敗体験や人間関係のトラウマから敬語で距離を取ろうとすること、またはマナーを重視しすぎた結果として過度に丁寧になったことが理由として挙げられます。


自己理解を深めるためのポイント

ASDの対人関係における5つのタイプについて理解が深まったところで、自己理解を深めるための3つのポイントをご紹介します。

1. 環境や場面によってタイプは変わる

対人関係のタイプは環境や場面、相手によっても変わるものです。例えば中学生時代には積極奇異型であった方が、高校生では尊大型、社会人になると孤立型になることもあります。ポジティブな経験よりもネガティブな経験がこうした変化の引き金となることが多くあります。

2. タイプが重複することもある

特定のタイプだけでは割り切れず、複数の特性が混ざり合うことも少なくありません。例えば、受動型でありながら孤立型の一面を持っている場合もあります。このように自己分析をする際には、複数のタイプの割合を考えてみると新しい発見があるかもしれません。

3. 思い込みすぎないことが大切

自己理解を深める上で、ひとつのタイプに当てはまると考えすぎないことが大切です。特性が強調されすぎると、かえって自分に対して不必要なプレッシャーを感じることがあります。あくまで目安として捉え、自己分析の道具の一つとして活用しましょう。


おわりに

ASDの特性や対人関係におけるタイプについて理解を深めることは、ASDの方だけでなく、周囲の方にとっても大きな意義があります。特性やタイプの違いを理解し、互いに寄り添い合える環境を築くことで、ASDの方も含めて一人ひとりが過ごしやすい社会を目指していけるでしょう。