うつ病とは、気分の落ち込みや興味の減退、やる気の低下といった症状が見られ、それが日常生活や仕事に支障をきたす病気です。原因として脳の活動が低下していると考えられていますが、血液検査やCT、MRIなどの検査で直接診断することはできません。診断は、国際的な基準に基づき、本人の自覚症状と医師の診察によって行われます。
しかし最近、これらの基準には当てはまらないものの、長期間にわたり気分が落ち込んでいると感じる人が増えていることが報告されています。気分が落ち込み、時には絶望感すら抱きながらも、通常通り仕事をこなし、日常生活を送っている状態が続く人たちです。これが何カ月、何年も続く場合もあります。うつ病にはさまざまなタイプがあり、慢性うつ病の一種である持続性抑うつ障害・PDDというものもありますが、これにも該当しないケースが見られます。
こうした状況に苦しむ人たちは、心の中では深く落ち込んでいるものの、職場や家庭では普段と変わらない様子を装うことから、アメリカの心理学者ハイジ・マッケンジーはこの状態を「スマイリングうつ病」と名付けました。日本でも同様の状態が注目され、「微笑みうつ病」として知られるようになっています。しかし、この名称はまだ十分に検証されておらず、正式な病名ではありません。
うつ病は、ある日突然発症するものではなく、家庭や職場の問題、経済的な不安など、さまざまな要因が積み重なり、次第に心身のエネルギーを消耗していく過程で発症します。通常、楽しみや休息によってリフレッシュされますが、限界を超えるとエネルギーが枯渇し、うつ病を引き起こすのです。
微笑みうつ病とは
微笑みうつ病とは、エネルギーが完全に枯渇する一歩手前の状態で、うつ病に進行するかどうかの境目と考えることができるかもしれません。また、軽度のうつ病がすでに発症しているにもかかわらず、自覚がないまま普段通りの生活を続けようと無理をしているケースもあるでしょう。今回は、微笑みうつ病に見られる6つのサインをご紹介します。
1. 職場に行くまでの朝がつらい
朝起きると、今日1日をどう過ごすかを考えると気が重くなります。何とか準備をして出社しますが、通勤中はマイナス思考にとらわれがちです。仕事が始まれば通常通りこなせますが、帰宅後には疲れを強く感じ、目的もなくスマホをいじるなどして過ごします。
2. 仕事でミスが増えた
うつ病は脳の働きが低下するため、集中力が落ち、仕事での小さなミスや忘れ物が増えます。
3. 趣味や娯楽を楽しめなくなった
以前は楽しんでいた趣味に対する興味が薄れ、外出や人との交流が億劫に感じられるようになります。
4. 部屋が散らかっている
掃除が面倒で後回しになり、必要のないものが片付かない状態が続きます。
5. 常に虚しさを感じている
漠然とした不安や虚しさを抱え、過去を振り返って後悔することが多く、将来に希望を見いだせません。
6. 怒りっぽくなった
感情のコントロールが難しくなり、些細なことでイライラしやすくなります。
最後に
微笑みうつ病は、責任感が強く、我慢強い人がなりやすいと言われています。しかし、問題を一人で抱え込み、他人に相談することが苦手な場合も多いです。心の不調を「怠け」や「疲れ」と誤解し、我慢を続けてしまうのです。
もし微笑みうつ病に気づいた場合は、生活を見直し、休息を優先することが大切です。特に十分な睡眠は、脳を回復させ、軽度のうつ病であれば自然に改善させる力があります。問題があれば、早めに解決策を見つけ、上司や友人、専門家に相談することも必要です。