「コミュニケーションが苦手」や「こだわりが強く、興味や関心が限られている」と感じる方がいらっしゃいます。これらの特性は生まれつきのものであることが多く、大人になってから気づくことも珍しくありません。今回は、そうした特性を持つ方が悪循環から抜け出し、自分を責めることなく対処法を身につけるための「3つのポイント」をご紹介します。また、人に頼ることやSOSを発信することの大切さについても触れていきます。
ASDの特徴①コミュニケーションが苦手
ASD(自閉スペクトラム症)は、かつて「アスペルガー症候群」や「自閉症」として知られていた特性が、共通の特徴を持つことから一つの連続体(スペクトラム)としてまとめられたものです。ASDの方は、以下のようなコミュニケーションに関する困難を抱えることがあります。
1. 人との関わりが苦手である
2. 目を合わせることが難しい
3. 会話がうまく成立しない
4. 表情が乏しい
5. 自分の気持ちや考えを表現するのが難しい
6. 冗談をそのまま真に受けてしまう
7. 他人の感情を理解するのが難しい
8. 曖昧な指示や暗黙の了解を理解できない
9. 状況を的確に読み取れない
10. 経験していないことを想像するのが難しい
11. 嘘をつくことができない
12. 自己中心的に一方的に話してしまう
ASDの特徴②こだわりが強い
ASDの方は、こだわりが強く、以下のような行動が見られることがあります。
1. 突然の予定変更に対応できず、臨機応変な対応が難しい
2. 規則やルールに強くこだわる
3. 一つのことに過集中してしまう
4. 自分で決めることが苦手である
5. ルーティン作業は得意だが、突発的な仕事には苦手意識がある
6. 要領が悪い、頑固と言われることがある
7. 自分の興味のあることに没頭し、相手を気にせず話し続けることがある
8. 興味や関心を持つ分野が限られている
9. 状況の変化に対応するのが難しい
ASDの特徴③興味や関心が限定的
ASDの方は、興味や関心が特定の分野に限定されやすく、職場で「融通が利かない」と思われることがありますが、以下のようにその特性がプラスに働くこともあります。
1. 論理的に物事を考える能力が高い
2. 嘘をつかず、正直で正義感が強い
3. 真面目でルールを守る
4. 数学や音楽、美術などに才能を発揮することがある
5. 単調な作業も嫌がらずにこなす
6. 生真面目に物事に取り組む
7. 記憶力が良い
8. 知識が広い
9. 興味のあることには集中力を発揮する
ASDの特性には難しさもありますが、同時に優れた長所や強みも多くあります。こうした長所に目を向けることが、より良い生活を送るための鍵となります。
大人になってから気づくこともある
発達障害は一般的に脳の働きに由来し、その特性は生まれつきのものです。発達に関するスキルや能力に偏りがある場合、それが一般的な発達パターンとは異なることで、発達障害と診断されることがあります。大人になってから診断を受けるケースでは、子供の頃から特性があったにもかかわらず、それが問題とされなかったことが多いです。しかし、社会に出てからはさまざまな制約や要求に直面し、その結果、自信を失ったり無力感を抱くことがあります。これが、さらなる困難を引き起こす原因となることもあります。
特性に折り合いをつけ、生きやすくする方法
発達に関する違いは人それぞれで、その影響も様々です。たとえ特性に違いがあっても、社会で幸せに生活している人もいます。大切なのは、特性の大きさではなく、それによって生じる生活の困難さです。もし生活が辛いと感じるのであれば、その原因を理解し、生活を改善するための方法を学ぶことが重要です。ただし、発達障害の治療とは、特性を無くすことではありません。特性には良い側面もあるため、それを失わないようにしつつ、問題の根本原因に対処することが求められます。周囲の理解やサポートがある場合、発達障害の診断を受ける必要はないかもしれません。重要なのは、自分の状況を正しく理解し、必要に応じて適切なアプローチを取ることです。
悪循環から抜け出すための3つのポイント
悪循環から抜け出すためには、次の3つのポイントが重要です。
1. 自己認識
まず、自分の特性を正確に理解しましょう。自己認識が不足していると、特性に合わない対処法を選んでしまい、望ましくない結果に繋がる可能性があります。
2. ポジティブな思考
特性による困難や障害が発生したとき、自己否定的な考え方を続けると、精神的な健康に悪影響を及ぼす可能性があります。ネガティブな思考をポジティブに変えることが重要です。
3. 適切な対処法の見つけ方
自分に合った対処法を見つけ、日常生活に取り入れましょう。適切な対処法を見つけることは時間がかかるかもしれませんが、前向きに試行錯誤してみてください。
これらのポイントを実践することで、発達障害のある方は悪循環から抜け出しやすくなります。周囲の理解とサポートを受けながら、自己認識、ポジティブな思考、適切な対処法を身につけることが成功への鍵となります。
自分を責めずに対処法を身につける
困難な状況に直面したとき、「また同じ過ちを犯してしまった」「私は無力だ」と自己を責めてしまうことがあります。これは、変わりたいという強い願望の表れでもありますが、自己非難にとらわれると、冷静な判断が難しくなります。代わりに、「同じことが起きたら次はどう対処できるか」を前向きに考えることが大切です。自分の特性や反応を理解し、適切なアプローチを見つけることで、環境を整え、問題解決の糸口が見えてきます。また、困難なときには他人に助けを求めることも非常に重要です。SOSを発信することで、サポートを受け、効果的な対処法を見つけることができます。
まずは自分の特性を知る
失敗は必ずしも悪いことではありません。失敗やトラブルから学び、それを活かすことで、次回同じ過ちを繰り返す可能性は低くなります。失敗を忘れないうちにメモを取り、自己分析を行いましょう。「私はこのような状況で焦ってしまい、それが失敗の原因だった」という自己認識を持つことが大切です。
考えを変えてみる
「ミスの原因は自分の能力不足だ」と決めつけるのではなく、別の視点から問題を見つめ直してみましょう。もしかすると、問題はあなたの能力ではなく、職場の要求が過度である可能性もあります。新しい視点から考える習慣をつけましょう。
環境を整える
自分の特性や問題の原因を理解すると、適切な対処法が見えてきます。たとえば、「騒がしい環境が苦手だから静かな場所で作業しよう」「仕事が多忙なら、対応可能な時期を相談しよう」といった具合です。特性や問題の理解に基づいて行動することで、より効果的な対処が可能になり、成功への道が開かれます。
人に頼ることやSOSを発信する大切さ
苦手なことは他の人に頼ることも有効です。困難な状況に直面したときは、一人で抱え込まず、適切なタイミングでSOSを発信しましょう。頼ることは決して悪いことではなく、むしろ感謝の気持ちを示しながら協力を得ることで、対人関係を円滑に進める助けになります。「ギブアンドテイク」の精神を大切にし、協力と感謝の輪を広げることが、共同作業や人間関係の質を高める鍵となります。