うつ病で最低限知っておくべき6つの知識

うつ病は世界中で約3億人が罹患していると言われており、WHOは2030年までに最も深刻な病気の一つになると警告しています。何事も対処するには、まずその正しい理解が大切です。

うつ病の基本的知識

今回は、うつ病に関する最低限知っておくべき6つの知識をご紹介します。

1. うつ病とは、生きる力が低下した状態です

うつ病を簡単に説明すると、心身ともに生きるためのエネルギーが枯渇した状態です。通常の疲労とは異なり、短期間の休息だけでは回復しません。主な症状として、気分の落ち込みや不安感、意欲の低下があります。また、身体的な症状も現れることが特徴で、頭痛や肩こり、腰痛、胃腸の不調、動悸や息苦しさといった症状が見られることもあります。うつ病は血液検査や画像診断では異常が確認されず、医師の問診による診断が主な方法です。

2. ストレスや過労が引き金となりますが、根本は脳の働きの低下です

うつ病になるきっかけはさまざまで、人間関係のトラブルや仕事の過労、出産や更年期など、心理的・物理的・生物的な要因が影響します。これらの要因が、脳内のセロトニンという神経伝達物質の分泌を低下させ、脳の機能が低下することがうつ病の発症につながります。つまり、うつ病は脳の働きが低下している状態であり、「怠けている」や「努力が足りない」といった気持ちの問題では決してありません。

3. 治療には薬と休養が効果的です

うつ病の治療では、脳内のセロトニン分泌を正常に戻すことが目指されます。初期段階では、睡眠薬や安定剤を使って睡眠や食欲を改善し、自然な回復を促します。それでも回復が見られない場合は、セロトニンの分泌を直接促す抗うつ薬が用いられます。治療の中で大切なのは、薬と適切な休養です。規則正しい生活を心がけ、少しずつ家事や趣味を楽しむなど、無理のない範囲で活動を再開することが勧められます。軽い運動も効果的です。認知療法やカウンセリング、磁気治療、サプリメントも一部効果が報告されていますが、効果には個人差があるため、補助的な方法として考えるとよいでしょう。また、回復後の1年間は再発のリスクが高いため、無理をせずに過ごすことが重要です。

4. 抗うつ薬を長期間服用する人もいます

抗うつ薬を服用すると約70%の人が回復し、2カ月から1年ほどで元の生活に戻れることが多いです。ただし、元の職場や環境に戻ると、再発する人も少なくありません。現代の社会では無理をせざるを得ない状況が多く、薬を長期間にわたって服用する必要が出てきます。約30%の人が抗うつ薬を10年以上服用していますが、抗うつ薬は血圧の薬のように長期使用が可能なものです。すでに70年以上の使用実績があり、長期服用による大きな問題は報告されていません。薬を自然にやめられる時期が来るまで焦らず、必要なサポートとして薬を利用することが大切です。女性の場合、最近の抗うつ薬は胎児への影響がほとんどないため、服用を続けながら妊娠・出産することが可能です。ただし、母乳への薬の移行を防ぐため、授乳を避ける場合もあります。

5. 難治性のうつ病は双極性障害の可能性があります

抗うつ薬を飲んでも改善せず、むしろ気分が高揚した後にさらに強いうつ状態が現れる場合、双極性障害の可能性があります。この場合、主治医は抗うつ薬を気分安定薬に変更しますが、双極性障害は治りにくい病気です。さらに、孤独や経済的な不安、家族の協力不足などが、うつ病の回復を遅らせることもあります。

6. 公的支援を活用しましょう

中等度以上のうつ病になると、これまでの仕事が続けられなくなる場合があります。その際、経済的な負担を減らすために、公的な支援制度が利用できます。主治医に診断書を書いてもらい、役所に提出することで自立支援医療が利用でき、治療費が3分の1に軽減されます。また、障害者手帳を取得すれば、公共交通機関の割引や公営住宅の優先入居、スマホの基本料金割引などの支援が受けられます。休職中は健康保険から給与の3分の2に相当する傷病手当金を受け取ることができ、最長1年半にわたり支給されます。回復が長引いた場合は、障害者雇用や障害年金を利用することも可能です。